ザ・リーサルウェポンズが異様さを大切にする理由、作家・爪 切男が聞く

ジョーはヒマワリ、アイキッドは月見草

ーザ・リーサルウェポンズさんのファンなので、今日はお会い出来て本当に嬉しいです。昨年の新宿FACEでのワンマンライブも最高でした。

サイボーグジョー:オー! アリガトウゴザイマス!

ー本当に面白かったライブやトークショーの帰り道って、その内容を覚えていないことが多いんです。幸せな時間が続き過ぎて頭が麻痺しているというか。何が面白かったかは思い出せないけど、とりあえず今日が最高の一日だったということだけは確信している。あの日のライブはまさにそれでした。

アイキッド:私たちからすると一番の褒め言葉です。ありがとうございます!



ー作り手側の視点でみると、楽曲もライブもしんどいことをやってるなぁと。来るぞ来るぞとわかっていても笑えてしまうドリフ的なベタな展開。そこに凄腕テクニックや皮肉なんかもさりげなく混ぜ込む。これを絶妙のバランスで成立させるのは並大抵のことじゃないですよね。

アイキッド:死ぬほど大変です(笑)。

サイボーグジョー:でも好きでしょ? 仕事大好きでしょ?

アイキッド:仕事が好きなわけじゃないんだよ! やらない人がいるから、私が全部やるんですよ!

ー作詞、作曲、ライブの演出にMVの監督まで手掛けてらっしゃいますもんね。

アイキッド:私は基本的に他人と一緒にものを作るのができない人間なので、ずっと一人で作業をしてたんです。でもジョーに関しては、こちらがやって欲しいと言ったことは何も文句を言わずに全部やってくれるのでね。わりとベストパートナーといえるのかなと。

ーそもそもジョーさんに声をかけたのはどういう狙いからでしょうか。

アイキッド:はっきり言うと私の作る作品には“大衆性”がないんです。本当は歌モノじゃなく、シンセウェーブっていうマニアックなジャンルでやろうかなと思ってたぐらいなので。そこでジョーには、日本人が好むステレオタイプのアメリカ人のキャラクターを演じてもらい、大衆性を補填してもらっている感じです。

―とのことですが、ジョーさんご自身は?

サイボーグジョー:大衆性? わかんなーい! 私はパフォーマンスが好き! ライブで歌うことも楽しいけど、私にとって一番大事なことはみんなが楽しむこと、元気な顔を見ること、パワーを吐き出すこと。分かりますか? それが大事です。

アイキッド:彼はもともとパフォーマー志望だったんですね。特に何かを深く考えているわけではないと思うんですけど、とにかく彼は人間性が抜群にいい。たぶん日本に来ている外タレの中で一番のナイスガイだと思ってます。

サイボーグジョー:ワオ! とても嬉しいです!

―確かにスーパー戦隊でいえばレッドに近い雰囲気を感じます。

アイキッド:ジョーは人生のイニシエーション(通過儀礼)をすべて適齢期にクリアしてきた人間なんです。歌詞なんかを見ればわかると思うんですが、私はその逆で、鬱屈とした日々を悶々と過ごしてきたんです。野村克也の言うところの「王や長嶋はヒマワリ、私は月見草」ぐらいの違いがあります。

ー同じというと失礼かもしれませんが、私もアイキッドさんと似た境遇でした。学生時代は、体育祭や文化祭のような行事があるたび、これをやったら女子にモテるかもなぁとか、人生の一発逆転を狙って陰キャの自分は頭の中でいろいろとシミュレーションをするんです。でも何をどうやっても無自覚なスター性を持つクラスの人気者にはかなわない。あれは残酷な現実でしたね。

アイキッド:すごくよくわかります。天性のスターは、そこにいるだけで周りを幸せにしますからね。ただ、クラスの人気者タイプでもあまり調子乗っているとそれはそれで弊害が起きるので、そこはしっかりとジョーの行動に目を光らせております。

サイボーグジョー:(笑)。

Rolling Stone Japan 編集部

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