ザ・リーサルウェポンズが異様さを大切にする理由、作家・爪 切男が聞く

サイボーグジョーは何もしたくない

―さて、現在もう何度目かわからない80年代リバイバルがやってきています。ブームというか、もはや一種のジャンルにもなってきたこの流れについて率直にどう思われますか。誰とは言わないですけども、懐古主義的な感じでうまくビジネスをしている人たちもチラホラと見受けられます。

アイキッド:正直遅いと思ってます。さらに言うなら、私はあんなものは来てほしくなかった。こっちは1991年からずっと同じ音楽をパソコンで作っているわけですよ。小学校三年生からですよ。三十年間同じ音楽をずっと作っていたのが急に評価され始めたのが不思議というか。それゆえに、リバイバルブームの一員だとみなされるのは本当に嫌です。

ー自分が好きなことをずっとやってきただけの人に、ブームの担い手という役割を簡単に背負わせようとする世間って怖いですよ。私も文章を書いていて、自分が書きたいことと世間や読者の求めるもののバランスに悩むことがあるんですが、その点はいかがですか?

アイキッド:もともと普通にバンドをやる感覚ではなくてエンターテインメントを作る感じで始めたものなので、そこは変わらずにやっていけると思います。アレンジを多少変えるとか、スネアやキックの音を変えたらいろいろ言われるでしょうけど、ボーカルとしてのジョーの魅力にさえ、ちゃんと芯を通しておけば大丈夫です。

―エンターテインメントということは音楽以外の可能性も?

サイボーグジョー:『リーサルウェポン』みたいなバディコップムービーをシリーズで作りたいね!

アイキッド:作りたいって言ってますけど、作るのはこっちなんで、言うだけなんです。今回のツアーでも、MCでイングリッシュギャグコーナーをしたいと突然言い出したのに結局やってくれなくて。これからもジョーのクリエイティブ面に関しては全く信用してません(笑)。私がボーカルをするのと、ジョーが一人で何かを作るのって同じくらいありえないことなので。……ところで何かしたいことってある?

サイボーグジョー:何もしたくないです……!

―(笑)。

アイキッド:したいならしたいって言っていいし、YouTubeでもやればいいじゃん(笑)。

サイボーグジョー:ノー! ノー!

アイキッド:ただ、映画は撮ろうと思ってます。

ー映画! はたして『48時間』になるのか『ゾンビ・コップ』になるのか。個人的には『マネートレイン』みたいな作品を期待します(笑)。

サイボーグジョー:おそらくB級テイストにはなるんでしょうね。完成を楽しみにしていてください!

Rolling Stone Japan 編集部

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