ザ・リーサルウェポンズが異様さを大切にする理由、作家・爪 切男が聞く

胡散臭いは最高の褒め言葉

―そろそろ時間も少なくなってきたので、二人への愛を言葉にして伝えてもいいですか?

サイボーグジョー:イエス!

ー私が初めてエンターテインメントと呼ばれるものに触れたのは小学校のときにTVで目にした「プロレス」でした。でも私の親父はとても意地悪な人で、プロレスがどういうものかということを私にすぐバラシたんです。佐山の『ケーフェイ』的な。でも私は絶望しなかった。逆に感動したんです。そんな嘘みたいな胡散臭いものに沢山の人が熱狂しているこの世界はなんて素晴らしいんだって。どうにもならない辛い事もあるけど、一瞬だけでも楽しいことがあれば大丈夫そうだと思って今まで生きてきました。そして四十歳を過ぎて子供みたいな大人になった私の前に、また素敵に胡散臭い二人組が現れました。それがザ・リーサルウェポンズです。こんなに嬉しいことはないですよ。あの、失礼なこと言ってたらすみません!

サイボーグジョー:(笑)。

アイキッド:いや、胡散臭いは最高の褒め言葉です(笑)。そう思われたくてこういう格好をわざとしているので! でも胡散臭いって大事ですよね。イロモノでいることで守れるものって結構あって、例えばアメリカなんか言うと、アーティストが政治の批判なんかをするのがスタンダードじゃないですか。イロモノでいられるうちはある程度「あー我々はイロモノですから」というエクスキューズも成り立つし、何よりも気が楽。聖飢魔IIなんかまさにそれで。でもたまにいるじゃないですか。「聖飢魔IIってあんな格好してなければ、もっと評価高かったのにねー」とか言う人。

ー逆なのに。

アイキッド:そう、逆です。俺たちはいつでも本気出せるんだぜっていうのをあの格好でカモフラージュしながら、ものすごいパフォーマンスをするわけじゃないですか。我々にはあそこまでの技術はないですけど、ずっと爪を隠しながら生きていきたいなと思っていて。だから、将来何になりたいとか、別に特にないんです。何か楽しいことをしたいなというのはあるけれど、十年後こんな自分になっていたいというのも別にないですね。早く年金が欲しいと思ってます(笑)。



<リリース情報>



ザ・リーサルウェポンズ
『アイキッドとサイボーグジョー』
発売中

=収録曲=
1. 20001年宇宙の旅
2. パーティースーパースター
3. 川中島の戦い
4. さよならロックスター
5. 半額タイムセール
6. 毎日たのしい1週間
7. デンジャーゾーン
8. 雨あがる
9. 94年のジュニアヘビー ~ザ・スコア~
10. 快走!ラスプーチン
11. 特攻!成人式
12. 合体!ポンズロボ
13. ポンズのテーマ
14. 押すだけDJ
15. 昇龍拳が出ない feat.カプチューン

Official HP:https://www.tlw80s.com/

Rolling Stone Japan 編集部

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