菅田将暉が語る、ものづくりの原点

菅田将暉(Photo by Genki Ito)

2020~2021年にかけ、さまざまなミュージシャンと制作を重ねてきた菅田将暉がここまでの作品をまとめ、“菅田将暉 2020-21 SONGS『COLLAGE(コラージュ)』”としてリリースした。今回に限らず、あらゆるクリエイターと垣根を越えて自由にものづくりを楽しむ印象の強い菅田に、この2年間に感じていたことや人と共作して遊ぶことから得ているもの、すなわち“コラージュ”の楽しみについて訊いた。

【写真を見る】菅田将暉(撮り下ろしカット)

コラージュから浮かび上がってきたもの

ー今回のアルバムタイトルは“COLLAGE(コラージュ)”。これに決めた理由などあればそこからお伺いしていきたいと思います。

菅田 コロナ禍の2年間、いろんな人と会えない状況のなか唯一進んだことが音楽でした。僕自身、俳優業も止まり、外に出るのはラジオくらいという状況下でも、裏で音楽の作業だけはできている、というのはやっぱり自分にとって救いだったし、そうやっていろんな人とコラボした曲が気付けば結構たまってきたな、というのがあって。これまでにも楽曲提供していただいているものはたくさんあるけど、それと、一緒に歌ったり制作もしたりっていうのはやはりちょっと違う作業だったりもするので、「なんかそこは一個残したい」という気持ちがありつつ。あと、今回のジャケットのアートワークは、友人のオオイシユウスケというカメラマンに手掛けてもらっていて。彼がコロナ禍に暇で始めた手法がコラージュだったんですよね。普通に友達だから「最近時間あるよねえ。何してる?」みたいな話になった時に、「こうやって写真をもとにしたコラージュを遊びでやってる。何か新しい武器になればいいなと思って」って見せてくれて、「え、これもう遊びのレベルじゃないと思うよ?」って僕からは伝えたりして。そういうエネルギーっていいなあとか、友人のそういう行為に励まされる感じも自分の中で印象的で、この2年間をまとめるとなった時に、自然とこのジャケットはユウスケにお願いできたらって思いました。

ーそういう経緯があったんですね。

菅田 そう。あと、この「コラージュ(collage)」って英語で綴ると「カレッジ(college)」に字面が似ているのもなんかいいなってピンと来たのかな。ラフっぽく「この辺にこんな感じでタイトルが入って」って描いてイメージしていた時になんとなく入れた単語が「college」だったんですよ。「てか、カレッジとコラージュ似てね?」ってなって。カレッジって、言葉として好きなので、なんかいいなあって。そんな感じです。

ーいろいろと、インスピレーション的にもハマりがよかった、と。コンセプチュアルに「今年、来年は誰かと一緒にやっていくぞ」と積み重ねたわけではなく、徐々に、今なら一緒にできそうだね、というタイミングが積み重なった結果、と。

菅田 ええ。最初から「いろいろな人とコラボしよう!」みたいなことでもなく、自然とそうなった。というのもあるし、なかでも中村倫也さんとの曲「サンキュー神様」は、もともとあったものだけど全然、表に出す意図とかはなく。個人的にも倫也さんがいろいろなところで歌っているのも観ていたし、すごい素敵だな、一緒にいつか歌いたいなあって思ってたので、「コロナ禍、暇ですか?」って連絡したら「暇だよ~」「じゃあ一緒にやりますか?」みたいな。でもこの「サンキュー神様」は、コーラスで木村佳乃さんやchayさんも参加してくれて、こういう自分発信のもので、俳優の現場じゃないところで皆さんに会えるって、あの時期じゃないとできなかったよなあとも思います。

ーそういうものたちが集まって、今回のコラージュができている、と。そのコラージュから浮かび上がってきたものは、菅田さんにとってどのような形に見えていますか?

菅田 そうですねえ、これまでお芝居含め十何年とずっと動き続けていたものが急に止まっちゃったんで。でも、何もできない、外にもいけない、なんか止まってんのも癪だなあと思いつつも、いろんな人がいろんな行動をしているのを見て逆に「なんかしなきゃ」っていう風に駆り立てられる感じもちょっと嫌で。「別になんもしなくてもよくないか?」とも思いつつ、でも気付けばこんだけ曲がある、っていうことが性(さが)のようにも思えて。なので、まあこの時間だからこそできるものっていうのを、何かやりたかったんでしょうね。



ーこのコラージュというタイトルで、今回の特典の作りなども拝見し、菅田将暉という人の像自体が結構コラージュ的なんだよ、というような投げかけみたいなものも含まれているのかなあなんて思ったりしたんですけど、タイトルにそこまでの意図ではなかったですか?

菅田 確かに。いやでもそれはあるんじゃないですかね。何となく常に“面白い人と面白い人のハブになる”みたいな環境が多いので。あとは、やっぱり俳優って、あくまでも素材だと思っているので。俳優は常に、たったひとりで仕事をすることってないので。しかも、現場が変わっていく。同じバンドを組んで、そのバンドでずっと曲を作る、ということでもない。だから、自然といろんな人と組み合わさることが習慣づいてはいるかもしれないですね。いいように言えば、そういうことですね。悪いようにいえば、飽き性みたいなところもある。だからこのじっとできない性分としては、音楽制作についても、いろんな人とその瞬間にガッて何かが生まれる、ところにちょっとこう、気持ちよさを感じていたりは、しますね。

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE