爪切男とアセロラ4000、作家2人が語る「一番スゲェのがプロレス」な理由

―爪さんはプロレスにエンターテイメントの魅力を強く感じているのが伝わってきましたが、アセさんの見方はなにか違いはありますか?

アセロラ:プロレスの魅力ってよく聞かれるんですよ。人間ドラマですって答えもあるんですけど、人間ドラマを見たかったらドラマを見ればいいじゃんと思うんです。プラス何があるかといったら、そこには勝負がある。新日本対UWFインターナショナルって、それこそ普通のプロレスと、ロープに飛ばないプロレスの戦いが初めてそこで激突した、古舘さんがかつて実況で言っていたいわゆるイデオロギー闘争ってやつですよね。やっぱ人間同士の持ってる意志のぶつかり合いっていうか、そこで勝敗を決するところは、どんなにファンタジーだとかドラマとか言っても結果として残る。それがインターネットがない時代に親父を殺めても知りたいっていうぐらいおもしろい部分なんだと思うんです。

爪:自分にはそんな思想はないとばかり思っていたのに、リアルタイムで新日本とUインターのイデオロギー闘争を体験したときに、ああ、俺はやっぱり新日本に勝ってほしいんだなってことに初めて気付いたんですね。あのときってアセロラさんはUWFを応援していたんですか?

アセロラ:新日側でした。会場に見に行ったんですけど、一緒に行った一つ上の友だちがボクシングをやっているやつで、ガチガチのUWF派だったんです。しかも大の高田ファンだったので、負けた直後に立ち上がって「八百長だー!」って叫んだんですよ。

爪:まさかの北尾光司状態! やばいっすね(笑)。

アセロラ:まわりの目が怖くて、すぐ会場を後にしました(笑)。でも、爪さんは借金取りに武藤さんのスペース・ローリング・エルボーをしたとか、スコットノートンが武藤にやられてるのをピュアに受け止めてるっていうのは驚きました。

爪:毎月借金の取り立てに来ている二人組をプロレス技で退治してやろうとすごく練習しました。プロレスの技は喧嘩でも通用すると信じてましたね。

アセロラ:武藤が好きだったとしても、プロレスにはもっと殺人的な技があるじゃないですか? パイルドライバーとか。

爪:どうしてもスペース・ローリング・エルボーで倒したかったんですよね。派手なやつがよかったんです。

アセロラ:借金取りを殺すのも、やっぱりエンターテイメントの中で殺そうとしてるんですね(笑)。ペース・ローリング・エルボーとか、そういう派手なキャッチーな技の名前とか派手な動きが好きなんですかね。

爪:そうですね。でも一番衝撃的だったのはあれです。スタイナー・ブラザーズ(※5)のスコットが使ったフランケンシュタイナーって名前を初めて聞いたとき、なんてかっこいい名前なんだ! って衝撃を受けましたね。

※5:兄リックと弟スコットによる兄弟タッグチーム。合体殺法やフランケンシュタイナーなど、独創的なオリジナル技で90年代の新日本プロレスマットを席巻。武藤敬司をはじめ日本人レスラーに影響を与えた。

Rolling Stone Japan 編集部

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