爪切男とアセロラ4000、作家2人が語る「一番スゲェのがプロレス」な理由

アセロラ:あははは。たしかに名前格好いいですよね。どんな由来かは全然わからないですけど。私は、正直言うと、2012年ぐらいのオカダ・カズチカ登場ぐらいまで、ちゃんとプロレスを見てない時期があったんです。2000年のヒクソン船木の試合が行われた「コロシアム2000」とか、「PRIDE」を中心に見てたんですけど、爪さんはそのあたりどうでしたか。


アセロラ4000(Photo by Jumpei Yamada)

爪:もちろん「PRIDE」とかも見てたんですけど、やっぱりプロレスを裏切れないと思ってましたね。永田とか棚橋がとにかく頑張ってたあの時代。ジャイアント・バーナードや中邑もいい試合してたなぁ。

アセロラ:中邑真輔選手の「一番スゲェのはプロレスなんだよ!」っていう名セリフ(※6)はそうであってほしいとは思いつつも、総合に出て行って負けてしまう選手が多かったですからね。

爪:そうですね。あの頃は確かにちょっと肩身が狭かったですね。たとえば、ケンドー・ナガサキ(※7)が負けた時は1個の神話が終わったじゃないですか。

※6:2004年3月28日両国国技館大会でボブサップに向けてのマイクアピール。「K1とかPRIDEとかよく分かんねえけど……一番スゲェのはプロレスなんだよ」
※7:喧嘩最強との呼び声も高かった、落ち武者スタイルのヘアスタイルと顔面ペイントが特徴的な元プロレスラー。2020に逝去。

アセロラ:ジーン・フレージャー戦ですね。

爪:ナガサキはガチなら強いんだっていう神話があっけなく終わりましたねぇ。

アセロラ:昭和のプロレスラーは実は道場で一番強いとか、そういう神話みたいなものを聞かされてきたのに、総合格闘技のブームになってリングに立ったら30秒ぐらいでいろいろ壊されちゃった。その時期は、第2期プロレスファン傷つき期だったと思うんですね。

爪:もう誰が出ても傷つくっていうのがありましたね。そう思うと中邑が頑張りましたよね。イグナショフ(※8)と戦ったときも。

※8:キックボクサーのアレクセイ・イグナショフ。2003年大晦日及び2004年5月に中邑と対戦した。

アセロラ:今でこそ、 WWE でスターになってますけど、私はしばらくイグナショフ戦のイメージが強かったです。そういう意味で、総合に行っちゃった私みたいなあまりプロレスに優しくない人間と違って、爪さんはプロレスをずっと見続けてきた。

爪:スポーツというかこの世の即興芸術の中で一番優れているのがプロレスだとずっと信じているので。総合格闘技にも芸術的なシーンもあるかもしれないです。でも先ほどアセロラさんがおっしゃった通り、そこにイデオロギーや人間ドラマや胡散臭さが合わさった一級品のエンターテイメントとして考えるならプロレスが最強ですよ。

Rolling Stone Japan 編集部

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