ザ・クロマニヨンズが体現した、爆裂ロックンロールの真髄

見渡す限りギッシリ満員の観客は、ライブが始まると総立ちになった。真島が足を大きく開いたり右手を上げるアクションを見せながらソリッドなギターでバンドを牽引すると、小林はパンクス全開のスタイルでぶっといビートを鳴らして、桐田がツーバスでドコドコと重低音を響かせる。3人が奏でる爆音の中、ヒロトは目を閉じて拳を握りしめながら〈眠れないぜ 銀の星よ これが恋か これが恋か〉と「光の魔人」をロマンティックに歌って酔わせ、セカンドラインのリズムに乗せて〈大丈夫だ 大丈夫だ〉と諭すように歌う。「千円ボウズ」では、〈絶望の壁も 地獄の門も どうでもいいぜ 千円くれ〉とステージから大きく手を伸ばしながら訴えるヒロトに、観客はステージに向かって手を伸ばして、見えない千円札を差し出している。曲が進むにつれて会場の一体感がどんどん増していくのがわかる。ロックバンドがいて、お客さんがいて生まれるあたりまえのようなコミュニケーション。声は出せなくても、足りないものなど何も感じない、最高に幸せな光景に映った。時折、ステージに掲げられた「SIX KICKS ROCK&ROLL」の大きなフラッグの銀色の部分が、照明の加減で稲妻のように見えたことにも興奮を煽られた。


桐田勝治(ドラムス,Photo by 柴田恵理)

「暴動チャイル(BO CHILE)」など、数曲でブルースハープを吹いたヒロトは、曲の間奏で真島のギターと掛け合ったり、曲を始める前にザ・ローリング・ストーンズ「ミッドナイト・ランブラー」の前奏を彷彿とさせるブルージーなアドリブを聴かせると、「短いフレーズの中に、数々のテクニック!」とひと言。客席からは大きな拍手が沸き起こった。昨年Rolling Stone Japanでおこなったインタビューでも、「ハーモニカに関しては、練習してる記録が自分の中にある」と発言しているほどこだわりが感じられるだけに、日本随一のブルースハープ奏者であるヒロトの演奏も随所でライブの見どころとなっていた。


真島昌利(ギター,Photo by 柴田恵理)

『SIX KICKS ROCK&ROLL』からは全曲が披露され、「タリホー」、「エイトビート」といったライブ定番曲もあり、爆音に包まれて高揚しっぱなしのあっという間の1時間半。「またやりたい! また絶対にやろう! ロックンロール!」(ヒロト)とのセリフを聞くまでもなく、いつまでも、何度でも体感したい“爆裂ロックンロール”の真髄がそこにあった。ツアーは今後も、振替公演となるツアーファイナルの5月5日、栃木県教育会館まで続いて行く。


(photo by 柴田恵理)



<ライブ情報>

ザ・クロマニヨンズツアー「SIX KICKS ROCK&ROLL」

2022年4月7日(木)大阪・フェスティバルホール
2022年4月9日(土)香川・ハイスタッフホール(観音寺市民会館)大ホール
2022年4月12日(火)千葉・千葉市民会館 大ホール
2022年4月15日(金)北海道・カナモトホール(札幌市民ホール)
2022年4月29日(金・祝)振替公演・熊本・市民会館シアーズホーム夢ホール
2022年4月30日(土)振替公演福岡・福岡市民会館
2022年5月3日(火・祝)振替公演・埼玉・三郷市文化会館
2022年5月5日(木・祝)振替公演・栃木・栃木県教育会館

<リリース情報>

15th アルバム『SIX KICKS ROCK&ROLL』

※CDのみ
発売日:2022年1月19日(水)
品番:BVCL-1160~1161
価格:3500円(税込)
【初仕様】紙ジャケット仕様
※2DISCS
※ボーナストラック2曲入り

ザ・クロマニヨンズ 公式HP:https://www.cro-magnons.net/

Rolling Stone Japan 編集部

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