2022年グラミー賞総括、シルク・ソニックの快挙とジョン・バティステの逆転勝利

米現地時間4月3日にラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで開催された第64回グラミー賞授賞式で栄えある賞に輝いたシルク・ソニックとジョン・バティステ。 写真左から:Johnny Nunez/Getty Images for The Recording Academy; Christopher Polk for Variety


昨年同様、今年のグラミー賞授賞式も新型コロナウイルスによる制限によって数カ月間延期された。だが、主催者が小規模で慎ましやかなイベントにしなかった点は昨年と異なる。ほぼ満員の出席者とともに——見たところ、ソーシャルディスタンス対策がとられたテーブル席についていたようだ——華やかでゴージャスな第64回グラミー賞が幕を開けた。目を引く無数のセットは、ラスベガスの雰囲気ともよく合っていた。

司会を務めたトレバー・ノアは、良くも悪くも昨今のグラミー賞の放送について次のように正直にコメントしている。「式典という考えは忘れてください」と冒頭で述べたノアは、「これは賞を授けるコンサートなのです」と的確に表現した。

オープニングを飾ったシルク・ソニックがラスベガスへのオマージュである「777」をフィーチャーしたメドレーとともに授賞式のムードを決定づけた。続いてクラシックカーから登場したロドリゴが「drivers license」を熱唱。その後もロゴリゴは、『オーシャンズ11』を想起させるダンスと強盗劇ムード満載のBTSの洗練された「Butter」のパフォーマンスに見事なカメオ出演を果たした。

>>関連記事:グラミー賞プロデューサーがBTSのパフォーマンスに感動した理由

アルゼンチン出身の新進気鋭のシンガー、マリア・ベセラもJ・バルヴィンとともに「Qué Más Pues」のデュエットを披露して脚光を浴びた。バルヴィンは大勢の覆面ダンサーを率いて、スクリレックスとのコラボ曲「In Da Getto」をエネルギッシュに歌いあげた。かたやリル・ナズ・Xは、自身に向けられた無数のアンチコメントを使った演出を披露。物議を醸した「Montero (Call Me By Your Name)」のミュージック・ビデオに関する怒りに満ちたツイートやニュース映像が無数に映し出されるスクリーンをバックに歌い終わると、ステージに登場したジャック・ハーロウとともにヒット曲「Industry Baby」を披露した。

授賞式の後半では、H.E.R.がジミー・ジャムとテリー・ルイス、トラヴィス・バーカー、レニー・クラヴィッツといったジャンルの垣根を超えた豪華アーティストとのコラボレーションを披露し、昔日のグラミー賞の華やかな雰囲気を呼び戻した。圧巻のギタープレイはもちろんのこと、ジミー・ジャムはショルダーキーボードで見事な演奏を届けてくれた。

ビリー・アイリッシュは3年ぶりに受賞を逃したものの、授賞式のハイライトのひとつともいうべきパフォーマンスを行った。先月急逝したフー・ファイターズのドラマー、テイラー・ホーキンスを偲ぶTシャツを着たアイリッシュは、大雨に打たれながら「Happier Than Ever」を熱唱したのだ。

続いて、フー・ファイターズの「My Hero」に合わせた特別なモンタージュとともにドラマーの死を悼むというほろ苦い瞬間が訪れた。さらにはフー・ファイターズの『Medicine at Midnight』が最優秀ロック・アルバムを、「Waiting on a War」が最優秀ロック・ソングを、「Making a Fire」が最優秀ロック・パフォーマンスを受賞し、ロック部門の賞を総なめにした。

>>関連記事:追悼テイラー・ホーキンス フー・ファイターズでの最後の演奏を振り返る

ホーキンスの追悼を皮切りに、グラミー賞の追悼コーナーが始まった。その中でも、シンシア・エリヴォ、レスリー・オドム・ジュニア、ベン・プラット、レイチェル・ゼグラーによるミュージカル界の巨匠、故スティーブン・ソンドハイムの楽曲のパフォーマンスはこのコーナーのハイライトだった。

Translated by Shoko Natori

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE