ピンク・フロイド復活 デヴィッド・ギルモアが語る28年ぶり新曲、ウクライナへの想い

アンドリーイ・クリヴニュークへの共感

ーアンドリーイの動画のどんなところにインスパイアされて、ピンク・フロイドの新曲を書こうと思ったんでしょう?

ギルモア:この動乱のさなか、アンドリーイがキーフの広場に立ち、ひとっこ1人いない中で声のかぎりにこの感動的なウクライナの歌を歌う姿は、ただひたすら感動的だ。

ーなぜ個人名義ではなく、ピンク・フロイドとしてこの曲をリリースすることが重要だったのでしょう?

ギルモア:もちろん、ピンク・フロイドとしての支持――発言力の大きさだ。ニックに話を持ちかけた時、彼もピンク・フロイドとして出したいと言った。それが当然だと思えた。自分たちはこの平和のメッセージを広めたい、ウクライナで祖国を守る人々の士気を高めたい。ならやろうじゃないか。


ーアンドリーイの楽曲は以前から知っていましたか?

ギルモア:2015年、ベラルーシ・フリー・シアターを支援するチャリティコンサート出演の打診があった。(シアターのメンバーは)ベラルーシ国内で絶えず嫌がらせを受け、投獄され、それはひどい扱いを受けていた。それで意識向上と募金のために一役買った。ブームボックスも共演者だった。残念ながらアンドリーイは直前にビザの手違いがあって来られなかったが、コンサートでは(ブームボックスを)バックバンドに迎えて一緒に4曲演奏した。みな素晴らしいミュージシャンだった。最近になって、アンドリーイがツアーを離れ、ウクライナに戻って国のために戦うという記事を読んだ。心を打たれたし、鳥肌が立った。彼は勇気のある男だよ。



ー彼の曲をレコーディングしたいと伝えた時、アンドリーイはどんな反応でしたか?

ギルモア:彼は興奮している様子だった。なんとか彼の電話番号を入手して、電話をかけた。彼はこっちが本物かどうか少し疑っていたのだろう、「FaceTimeのビデオ通話にしてもいいかい?」と言ったので、「もちろん」と答えた。本物だとわかると、現実だとわかって安心していた。その後は大喜びだった。彼も曲を気に入ってくれた。非人道的なことが現地で起きている中、彼と一緒に自分たちも人道にささやかな貢献ができて、とても嬉しいよ。

ーレコーディングが行われたのはわずか1週間前でした。どのぐらいのスピードで完成したのですか?

ギルモア:アイデアを膨らませ始めたのがまさに2週間ぐらい前で、それから今に至っているよ。

ーニック・メイソンと再びレコーディングした心境は?

ギルモア:最高だ。ニックは他のどのドラマーとも違う。素晴らしい意義をもった曲を一緒に演奏できるなんて、最高だ。

Translated by Akiko Kato

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