ピンク・フロイド復活 デヴィッド・ギルモアが語る28年ぶり新曲、ウクライナへの想い

「Hey, Hey, Rise Up」が生まれるまで

ー「Hey, Hey, Rise Up」は合唱から始まりますが、歌っているのは誰ですか?

ギルモア:キーウの広場でアンドリーイが歌っているのを最初に見てから、他の動画にも目を通した。ひとつ動画を見ると、別の動画を勧められるだろ。たまたま出てきたのがVeryovkaというウクライナの民族合唱団だった。自分が見た動画では(「ああ、草原の赤きガマズミよ」を)バージョン違いでいくつも歌っていた。冒頭の部分がとても美しくて、出だしに入れたらどうなるだろうと思ってやってみたら、最高だった。それで連絡を取って、使用許可をもらった。



ー曲のアレンジはどんなコンセプトで完成したんでしょう?

ギルモア:そうだな、まずやらなきゃいけないのは、彼が歌っている時に頭の中でどんなコードが流れていたのかを突き止めることだ。相当な時間をかけて推測し、他のバージョンとチェックする作業になる。まずボーカルパートのコードから取りかかって、何度か通しで演奏した。彼の声を抜き出してレコーダーに入力し、クリックタイムで再生して、その後ギターの演奏と合わせてみた。ボーカルパートが片付いたら、同じ作業を繰り返して、ギターを弾きながら新しいギターコードや曲の他のパートを作っていく。(そうしたコードは)同じ曲に入れてもおかしくなかったが、まったく新しい感じだった。テーマにもピッタリ合っているし、他のバージョンにもフィットすると思う。

ーギターソロの部分は即興ですか?

ギルモア:自分がよくやるのは、即興で演奏した後で手直しするという方法だ。ミスをしたら――ミスはしょっちゅうだが――いったん手を止めて、そのパートをやり直す。たいていの場合、思いつきをそのまま形にしたものが一番出来がいい。

今回ソロで使っているコードは、アンドリーイが歌っていた音楽から引っ張ってきた。だから自分の演奏もそこからヒントを得ている。ウクライナや自分の考えがかなりダイレクトに、即興で盛り込まれていると言ってもいいだろう。だが自分の場合、演奏しているときはあまり考えていない。心を空っぽにして、気の赴くままに任せるんだ。

ー今後もピンク・フロイドとしての音楽活動を考えていますか? 今回の楽曲は、現在取りかかっている他の作品とどうつながるのでしょう?

ギルモア:ピンク・フロイドとしてやるのはこれ1度きりだ。自分はいつも気が向くままに作業している。どこかの時点でアルバムを完成したいと思っているが、今この瞬間に力を入れているのはこの曲だ。

Translated by Akiko Kato

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