ピンク・フロイド復活 デヴィッド・ギルモアが語る28年ぶり新曲、ウクライナへの想い

ロシアの侵攻に対して望むこと

ーあなたは戦争当初からロシアのウクライナ侵攻に反対の声を上げていました。今回の戦争は、個人の生活にどう影響していますか?

ギルモア:どんな戦争でもそうだが、とりわけ世界の超大国が独立民主国家に対して始めた戦争は、とてつもなく大きな怒りと苛立ちを募らせる。さっきも言ったように、自分もちょっとしたつながりがある。義理の娘はウクライナ出身で、前から知っていた――懇意というわけじゃないが、少し前から知っていたブームボックスもウクライナ人だ。1人の人間が権力を手にし、別の独立民主国に侵攻して人々を殺しにかかるなんて、ものすごく理解に苦しむし、苛立ちや怒りが沸き上がる。理解不能なほど卑劣だ。

自分も、何もできないことに苛立ちを感じていた。そこへアンドリーイの歌が現れて、ある程度こうした気持ちから解放してくれた。自分の力や名声で、今この瞬間、特定の国のために、具体的なことができると感じた。これは今起きている物語。この物語を語り続け、できる限りの手を尽くして、巻き込まれている人たちの士気をあげたいと誰でも思うだろう。ニュースに取り上げ続けて、世間の良心をこの問題に向けさせ続けたいとね。


(ツイート訳)
ロシアの兵士たちよ、同胞を殺すのはやめてくれ。この戦争では誰も勝利しない。
私の義理の娘はウクライナ人だ。孫は美しい国をいつか訪れて、もっと知りたいと思っている。すべてが破壊される前にこんなことはやめよう。
プーチンを退かせなければ。

ー3月にはロシアとベラルーシのストリーミングサービスから、ご自身やピンク・フロイドの楽曲の一部を削除しました。そうした決断に至ったのはなぜですか? ピンク・フロイドの楽曲全てが削除されたわけではないようですが。

ギルモア:一般の人々から権利を奪うことは一番やりたくない。ロシアは恐ろしい人たちばかりじゃないからね。ただ指導部が恐ろしく間違った方向に進んでしまっただけだ。だが実際のところ、これが制裁というものだ。自分がこういうことをすれば、ロシアにいる人たちも実際に起きていることに気が付いて、国に変化を起こそうと立ち上がろうとするかもしれない。

まずニックの承諾を得て、すぐにシド・バレットの遺族からも承諾をもらった。それでできる限りの措置に踏み切った。

ー楽曲を削除したことに対する反応についてはどう感じましたか?

ギルモア:嫌がらせをしてくる奴なら山のようにいるさ。そういうのはいつも構わないようにしているんだが、今回に関してはあちこちから賛成の声や歓迎、感謝のコメントが寄せられた。人々が行動を起こし、彼らのために立ち上がって、彼らが味わっている苦しみに団結を示してくれているのを見て、ウクライナの人たちも喜んでいるよ。

ーロシアの侵攻に対して、世界には他にどんな対応を望みますか?

ギルモア:世界中が正しい反応を示している。怒りに震え、苛立ちを感じている。他の国々の首脳の言動にも苛立ちがにじみ出ている。君たち(ローリングストーン誌)の国の大統領、バイデン大統領もそうだ。彼も何度かうっかり心情をあらわにしているだろう。他の世界の首脳も同じだ。世界中の声が高まっていると思う。こんなことは起きてはならない。本来あってはならない。だが自分たちがいる世界は、21世紀も1/5を過ぎたというのに、いまだにこうした卑劣な状況が起こりうる。とても信じられない。理解に苦しむよ。

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From Rolling Stone US.




ピンク・フロイド feat. アンドリーイ・クリヴニューク(ブームボックス)
「Hey, Hey, Rise Up」 
購入・再生:https://SonyMusicJapan.lnk.to/PinkFloydHHRU
※収益はウクライナ人道支援募金へ寄付される

Translated by Akiko Kato

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