マイク・シノダが語る NFTとAIを使って追求する、新しい時代の音楽とアート

マイクがNFTを始めたきっかけ

ーTwitchのライブストリームで視聴者たちと一緒に音楽を作った経験があった上で、どのようにNFTを始めるに至ったのですか?

マイク NFTのことは友達から話は聞いていたんだ。2021年の初めのことだね。NFTにすぐ飛びつくようなことはせずに、自分がちゃんと理解できるまで調べてみたんだ。とは言っても、実験してみたくてしょうがなかったよ。僕がNFTスペースに入った時は、まだあまり人はいなかったね。Beepleが出てきた時に、みんな「あれは誰なんだ?」、「どれだけ稼いだのか?」って騒ぎ出したんだ。僕は最初、NFTのことを高額なデジタルアートぐらいにしか思ってなかった。僕の友達にRACというアーティストがいて、2016年からNFTスペースにいるんだけど、彼はリンキン・パークのリミックスを何曲か手がけているんだ。才能のあるプロデューサーで、テクノロジーにもスゴく精通している。RACに聞いてみたら、「本当のチャンスというのは、Beepleのように大金を稼ぐようなことじゃないんだよ。重要なのは、音楽アーティストが作ったデジタルアイテムの希少性から利益が生まれるところにあるんだ。つまり希少性が資産になるということなんだ。ファンとともにコミュニティを作って、アーティストとファンの双方のどちらにとっても利益のあるコミュニティを作ることができるんだ。ファンにとっては、初期の段階でそのアーティストのファンであるということを見せれば、コミュニティに早く参加できるだけではなく、ファイナンシャルの方にも早くから参加できることになる」って言うんだ。RACがその時僕に話してくれたことは、今実際に起こっていることなんだ。

今やDAO、ソーシャルトークン、NFTを通して、アーティスト、クリエイターたちが素晴らしいコミュニティを作っている。アーティストたちも、彼らをサポートする人たちも、お互いを助け合っているし、それ以外の第三のカテゴリーに属する、システムをサポートするような人たちもいる。例えば、ビジュアルと音楽を作るアーティストがいて、そのすぐ近くにはコレクターがいて、アーティストをサポートしているよね。第三のカテゴリーっていうのは、ビデオを制作したり、SNSでサポートしたり、マーケティングをやったり、コーディングのような技術面のことをやったり、ウェブサイトを作ったりする人たちのことを言うんだ。ゲームデザイナーがいきなり出てきて、「ヘイ! あなたのやってることは最高だね。これをゲーム化したいんだけど」って言ってきたり、あるグループからは、「僕たちはプラットフォームを持ってて、すでにいくつもメタバースをやっている。あなたの知的財産、音楽やアートを僕らのメタバースで使わせてくれないか? コラボレーションで得た利益はシェアしよう」って言ってきたりすることもあると思うんだ。コミュニティが生まれて、お互いがつながっていく感じさ。しかもそこにいる全員が上がっていける。スゴく複雑だし、誰もが簡単に理解できるものではないから、そこは残念なところだね。理解できない人たちの中には、トップにいるヤツが下にいる全員を利用している詐欺みたいなものだと思っている人たちもいるよ。だけど僕はそういう面は見ていなくて、時代の先を見るような考え方に興味を持ったんだ。


コロナ禍の2020年には、ライブストリーミング配信サービスのTwitchを通してファンと一緒に制作したアルバム『Dropped Frames』を3枚リリース。写真は第1弾となった『Dropped Frames, Vol. 1』。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE