マイク・シノダが語る NFTとAIを使って追求する、新しい時代の音楽とアート

マイク・シノダ(Photo by Frank Maddocks)

マイク・シノダと言えば、リンキン・パークというビッグ・バンドを音楽面でもビジュアル面でもリードしてきたアーティストだ。同時に、音楽とアートの融合、今の時代における音楽のあり方、最新テクノロジーを使った表現方法も追求してきた人でもある。

【画像を見る】昨年12月に発表されたNFTコレクションの一部

そんなマイクがコロナ禍で行ったことは、Twitchを使ってファンと曲作りをすることだった。そして2021年11月には、新曲の音楽とアートが融合したNFTプロジェクト、ZIGGURATSを始動。さらには、AIを使った音楽NFTプロジェクトにも関わっているという。

ーコロナ禍になって、マイクは新しい音楽の作り方を模索していますよね。クリエイティブに対するマインドセットはどのように変わりましたか?

マイク 僕の中では自然に起こったことなんだよ。元々僕はコロナ前にツアーもライブもブッキングしていなかったし、他のアーティストのようにアルバム制作にも取り組んでいなかった。だから僕の置かれてた状況はユニークで、すでに実験的なことを始めてたし、より内省的なアプローチを模索していたんだ。クリエイターとして見た時に、今自分は何をやっているのか? それを何故やっているのか?っていうことを考えたんだ。それでいろんなプラットフォームを使ってライブをやってみたんだよ。Twitchの僕のチャンネルでは、ライブストリーム中にゼロから音楽を作り始めるということをやった。そこに参加してくれたファンと交流しながら、一緒に曲を作ることもやった。これにはいくつか重要な理由があるんだけど、一つには、自分の一番近くにあるコミュニティとより深いレベルでつながるということ。もう一つには、もっとゆるいやり方で、僕のツールセット、考え方、音楽の実験をさらに追求したかったということがある。それで、コロナ禍になって2年経った時に、僕の音楽制作プロセスはかなり速くなっていたんだよ。アイデアの方もより自然なものが出てくるようになったし、他からの期待という重荷を背負わなくても済むようになった。同時に、自分の中のビジュアルアートの部分ともさらにつながることができた。僕が元々画家やイラストレーターになりたかったという事実を知らない人も多いと思うんだけど。僕はアートセンター・カレッジ・オブ・デザインでイラストレーションを勉強して、学位も取得している。元々はアートを仕事にして、音楽は趣味にするつもりだったんだ。

ーマイクはリンキン・パークのデザインを担当してきたし、フォート・マイナーで絵画シリーズを作ったり、パブリック・アートショーをやったりして、けっこうアートの活動もやってきましたよね。

マイク そうなんだ。だけど音楽を優先させてたから、ビジュアルアートの方が趣味みたいになってしまったんだよ。自分の音楽のキャリアをサポートするためのアートでもあったから。ジョー・ハーンと出会ったのもアートセンター・カレッジ・オブ・デザインだし、二人は同じ授業を受けてたんだ。リンキン・パークの1stアルバムを出した時、ジャケット、ウェブサイト、マーチャンダイズのデザインは僕とジョーがアートディレクションを担当して、たまに自分でも描くということをやっていた。当時はバンドが忙しくてアートをやる時間がなかったんだけど、最近では以前よりもアートに時間を多く割けるようになって、またいろいろクリエイティブなことができるのが楽しくなっている。

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