ー話は変わりますが、東京で活動しようと思ったことはないですか?音楽とは別なんですけど、僕は今たくさんの動物と暮らしていまして。というのも、不幸な野良猫とか飼い手がいない動物の保護活動をやってるんです。妻と一緒に個人でやっているので、それを東京に移して続けていくのが現実的に難しいのもありますし、楽曲制作をするにも、この土地でやることでプラスになっている面も多いにあると思うんですね。自分にとって良い環境だと思うから、ずっと札幌を拠点にしているのがあります。
ー改めて地元の良さって、どこに感じます?僕にとって東京は戦いに行く場所なんです。何かが起こる場所だし、何かを起こす場所。そういう刺激は自分とってすごく必要な反面、気持ちを落ち着かせる場所も必要。なので東京での戦いから帰ってきて、札幌で安らぎを得る。そのバランスが自分にとってちょうど良いんです。地元にいると充電できますし、集中して楽曲を作れる。それをアウトプットするのが東京なんですよね。
ーSNARE COVERの壮大なメロディや、神秘的な歌声は札幌にいることも大きいのかなって。そう言ってくださる方もたくさんいますし、自分でも意味のある場所だと思いたいところがありますね。
ー山とか海とか森とか、そういう自然とシンクロする音楽ですしね。嬉しいです。自分の作業部屋から山とか谷とかが見えるんですよ。自然の景色をいつでも見られる状況で音楽を作るのと、何も見えない部屋に籠って作るのではやっぱり違うと思うんです。音をどうやって捉えるのか、という認識も変わる気がしていて。逆に、スクランブル交差点を行き来する人たちや、ビルが立ち並んでいる感じの都会的な音楽というのは、自分にとってジャンルが違うのかもしれないですよね。
ーSNARE COVERを20年以上やってきた中で、自分が歌うことの根本って変わりました?根本は変わってない気がします。初めて音楽を作り始めた時に味わった感動とか、「これをやり続けたい!」と思った衝動を未だに持てているから、現在まで音楽を続けられている気がして。それこそ漠さんが言った「好きなものは誰にも奪えない」というのは、そういうことな気がするんですよね。止めるものじゃないというか、どこかで区切りをつけるものじゃない。それが僕にとって音楽なんです。その中で現実的に活動の形が変わったりとか、方針が変わったりとかはあります。昔は、自分のアイデンティティからはみ出たものはやりたくなかったけど、はみ出たものも受け入れられるようになった。ただ、元々持っていた音楽に感じた感動や「自分が震えた感動は他の人にも伝わるはずだ」と思ったエネルギーが保持できている。それがないと、好きでい続けられないかなと思いますね。
<リリース情報>SNARE COVER「私らしく、僕らしく-井手上漠のこと―」
配信日:2022年3月26日(土)ストリーミング : https://ffm.bio/wasurene発売元:ALLentertainment
SNARE COVER 公式HP:https://snarecoverofficial.ryzm.jp/