中島みゆき最後の旅「結果オーライ」、瀬尾一三と振り返る

中島みゆき

日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2022年3月の特集は、『中島みゆき 2020 ラスト・ツアー「結果オーライ」』。今月は4週に渡り、2022年2月に発売されたライヴアルバム『中島みゆき 2020 ラスト・ツアー「結果オーライ」』収録曲を全曲紹介。1988年以来、中島みゆきのプロデューサー、アレンジャー、音楽監督を務める瀬尾一三をゲストに送る。

田家:こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」案内人・田家秀樹です。今流れているのは中島みゆきさんの「一期一会」。先月発売になったライヴアルバム『中島みゆき 2020 ラスト・ツアー「結果オーライ」』からお聴きいただいております。先週と今週の前テーマはこの曲です。

関連記事:中島みゆきのラスト・ツアー、瀬尾一三と振り返る

一期一会 / 中島みゆき

2020年に行われた最後のツアーの2枚組ライヴアルバムで、Disc1とDisc2に分かれております。コンサートでは一幕と二幕ですね。先週はDisc1の1曲目「一期一会」から5曲目の「糸」と6曲目の「ローリング」のメドレーまでお聴きいただきました。今週はDisc1からDisc2の流れを辿ろうと思うのですが、先週瀬尾さんがおっしゃった、誰にも言わないで録音していた。そもそも録ろうと思われたのはなぜだったんですか?

瀬尾:専門的なことになるんですけど、先週も聞いてくださったように途中で突然曲がメドレーで変わるというとき、楽器バランスが全部違うんですよね。それをコンピューター、PAのコンソール卓に覚えさせるんです。そのときそのとき、エンジニアに言うんですけど、それじゃ間に合わないので録音したものを聴かせて、「バランスはこうだよ」と言って、ボタン1個でパッと変わるようにする、そのために全部録音していたんです。復習と予習のために全部録音して、「ここのバランスがこうだから前のリハのときはこうなっているけど、これはこうしてくれ」とリハが終わった後に音を聴きながらやっていたんです。

田家:毎回?

瀬尾:毎回マルチで。そうしないとバランスがとれないので。ただのPAアウトのLR、ステレオだけだと楽器バランスが分からないので、1個1個全部分かるようにマルチで録っていて。それをエンジニアに「ほら見ろ! ここ違うだろ!」とか言って、全部ボリュームが変わってバランスがちゃんするようにしたんです。

田家:実はライヴアルバムが出たときに素朴な疑問がありました。コンサートが始まったのは1月からで6月まで24本行われる予定なのに2月26日の大阪で中止になってしまった。3分の1ですよね。ツアーが終わった後パッケージとしてCDや映像を出すときに、いつ頃のものを収録するか。大体ツアーの後半ですよね。

瀬尾:そうですね。中盤から後半の間の中盤ですね。大体後半にいくと、結構みんなこなれてくる感じで、崩れる前に録らないとダメなので。

田家:ダメなところが分からないですもんね。

瀬尾:千秋楽とか録ると、結構ハチャメチャが多いんです(笑)。みんなが楽しがって「終わりだ―!」って感じで、演奏も「おい、どうしちゃったの!?」って感じになったりするときがある。必ず中盤過ぎた後半との間ぐらいに録る。今回は5月ぐらいに録る予定だったんです。

田家:3分の1で終わっちゃって、まさかそれで終わるとは誰も思ってないでしょうから、いつ録ったんだろう? というのが1番素朴な疑問だったんです。

瀬尾:ずっと録ってたんです(笑)。

田家:その中で選んだのがこれで?

瀬尾:そうです。大体9割方が2月26日の大阪フェスティバルホールです。

田家:いやー録っていてよかったですねー。

瀬尾:リハからゲネプロから初日の新宿から、毎回録っていました。その中から聴いて選んだ。最終的に自分の中でこれならいいなと思うのが、9割方大阪の2月26日のやつだったんですね。

田家:録音していたことは本人も知らなかった。先週もこの曲はお聴きいただいたのですが、今週も流したいなということでライヴアルバムから「糸」と「ローリング」のメドレーをお聴きいただきます。

Rolling Stone Japan 編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE