中島みゆき最後の旅「結果オーライ」、瀬尾一三と振り返る

最後の女神 / 中島みゆき
齢寿天任(よわいことぶきそらまかせ) / 中島みゆき

田家:1993年のシングル『時代』のカップリング「最後の女神」と最新アルバムの『CONTRALTO』の「齢寿天任(よわいことぶきそらまか)せ」。全然違う曲ですね。

瀬尾:これはさっきも言いましたけど、中島さんが得意とすることですね。「最後の女神」で救いそうで「齢寿天任(よわいことぶきそらまか)せ」で突っぱねているすごさがありますけどね。どっちもなるようになるしかないということなので、ある意味ね。これは僕なりの考えですけど、おもしろかったのが西の神様と東の神様の繋がりみたいな感じ。

田家:あ、なるほどね! 和風ですもんね。

瀬尾:女神とこっちの東の神様の繋がりを上手く出せればいいなと思ってやっていたんです。

田家:「最後の女神」の「最後」という言葉に、お客さん、特に地方の方は最後に生で観るみゆきさんを重ねたでしょうからね。

瀬尾:そうですかね。それはどこかにあったかもしれませんけども、僕からすれば彼女の中では「最後の女神」と「齢寿天任(よわいことぶきそらまか)せ」をドッキングさせたことがおもしろいと思いますね。

田家:「齢寿天任(よわいことぶきそらまか)せ」は東洋版、和風版の「レット・イット・ビー」みたいな感じに聴こえましたね。

瀬尾:そういう感じですね。ただ、結構辛辣なんですよね。特に3番目ぐらいの歌詞のところで若者は希望もなく余生をどうしようかと。でも、年寄りはまだ命がほしいみたいな。こういう「言えてるー!」みたいな部分がある。

田家:グサッと言っておきながら、でも(笑)。

瀬尾:ええ、でも最終的には空だよ、みんな最後死ぬからねっていうのがちゃんと分かっているから、そのへんがものすごくいいなと思って。

田家:「レット・イット・ビー」より辛口ですね。

瀬尾:辛口だけど真髄はついてます。これは日本のお祭りなんですけども、大太鼓を使ってますから神社とかに奉納するお祭りの感じというので考えてやっています。

田家:盆踊りの感じもちょっとあって。

瀬尾:盆踊りの要素も入ってます。あれもある意味奉納ですから。

田家:たしかにね。これで一幕が終わるわけですが、一幕が終わって休憩時間は瀬尾さんは何をされているんですか?

瀬尾:一応みんなのところに戻って、本人のところにも戻って「大丈夫だよ」って言って、次に繋がるようにそのときには何も言いません。

田家:たとえ至らないことがあっても。オッケーオッケーみんな大丈夫だよって。

瀬尾:「これでそのままいこうね! 次も!」っていう感じで(笑)。

田家:来週もそのままこの感じでよろしくお願いします。来週はDisc2、二幕の曲をお聴きいただきたいと思います。


『中島みゆき 2020 ラスト・ツアー「結果オーライ」』ジャケット写真

Rolling Stone Japan 編集部

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