中島みゆき最後の旅「結果オーライ」、瀬尾一三と振り返る



田家:「J-POP LEGEND FORUM中島みゆき 2020ラスト・ツアー「結果オーライ」パート2」です。先月発売になった2枚組のライヴアルバム『中島みゆき 2020ラスト・ツアー「結果オーライ」』の全曲紹介をプロデューサー、音楽監督、瀬尾一三さんをゲストにお送りしております。流れているのはこの番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。

コンサートツアーが行われると、CDとかライヴ映像として発売されるのが今では当たり前になっていますが、みゆきさんはツアーに関しての作品が本当に少なかった。初めてツアー音源がライヴ盤になったのは、2008年の『歌旅-中島みゆきコンサートツアー-2007』。2007年のツアーを収めたものだったんですね。その前に1986年の「歌暦」というスペシャルライヴを収めたライヴ盤はあったんですけども、所謂ツアーが素材になったのは2008年までなかった。なぜそういう作品が今までなかったんですかと当時インタビューでお訊きしたことがあるんですけど、「ツアーは一期一会だからね」という話で終わるんです。その日のその会場のお客さんとで作るものだから、何十本もあるコンサートツアーの中の何か所かを収録して、このツアーはこうでしたよって言えないのよというのが彼女の持論だった。「夜会」は映像があるんですけども、コンサートツアーが全然なかったというのは一期一会だからこれは無理なんだと。2007年のツアーでどこの会場に行っても同じような質の同じようなクオリティの演奏ができるようになったから、何か所か収録したものでもこのときのツアーはこうでしたとようやく言えるようになったから出した。デビューから30年以上経っているんです。それは彼女の完全主義の表れだなと思ったんですけれども、さっきのイヤモニの話もそうですね。その会場のお客さんがいるからその日の歌になった、お客さんと一緒にコンサートを作った、客席の声を聴きながら歌うのがライヴだからという話も1つの一期一会の証だったんだろうなと思います。

そういう中で今回のツアーはまるごと全曲がパッケージになっているんですね。そういうライヴアルバムは初めてなんです。今でのライヴ盤は全部セレクションだった、収録されない曲もあった。まるごと収められているのは今回が初めて。これは地方で支えてくれたファンの人たちに対しての置き土産以外の何物でもありません。来週はDisc2、二幕をお聴きいただこうと思います。



<INFORMATION>


田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
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Rolling Stone Japan 編集部

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