音楽本特集第一弾、朝妻一郎が語る音楽にまつわる権利と日本のポピュラー音楽史



田家:80年代に入って秋元康さんですね。秋元さんと筒美京平さんだ。

朝妻:2人のいいところが出ていますよね。京平さんって、歌手の1番魅力的に聴こえるところは上から下に下がっていくのか、下から上に上がっていくのかということをちゃんと考えて曲作りをされている。これを聴くと、稲垣くんの魅力的な声が出るようにメロディを書かれているなと。それから秋元くんは言葉の使い方がすごく上手いんだけど、曲の方も詞の方もそれぞれがそれぞれの得意技をちゃんと出してくれているなという気がします。

田家:この『高鳴る心の歌』には本当にたくさんの人名が登場します。これは日本の音楽史の人名史と言ってもいいかもしれないぐらいにメーカーの方とか、作家の方とか、アーティストの人とか。その中にニッポン放送のアルバイト時代のことを筒美京平さん、ポリドールのディレクター・渡辺さんとして登場しております。ページ78でしたけども(笑)。本当にいろいろな方がいろいろなところで登場している。1回だけじゃないですもんね。

朝妻:結局やっぱり人との出会いが僕の今日に至るまで、人との出会いに助けてもらったり、本当にいいときにいい場所で出会っているんですよね。

田家:いいときにいい場所でというのはまだそんなに有名になっていないとか、まだこの後どうなるか分からない時代に出会われている。

朝妻:そう。そこで会った人が渡辺さんみたいにポリドールの洋楽のディレクターだった方が作曲家になって一緒にいろいろ仕事ができるとか。だから、僕はとても恵まれていたと思いますね。

田家:パート2の洋楽ポップスに魅せられて――パシフィック音楽出版という章の中にはっぴいえんどとジャックスで学んだことがありまして、アルバム『ジャックスの世界』も朝妻さんがディレクターだったんですね。

朝妻:ジャックスの早川くんは「朝妻ディレクターはただスタジオで踊ってただけだった」って書いてるんですけど、要するに僕は楽器が全く弾けないんですよ。変な話、ギターがフェンダーとギブソンで違う音を出すなんて、ギターの水橋くんに言われるまで気がつかなくて。ギターってトーンコントロールを調節すれば、どんな音でも出せるっていうふうに思ってたりしてたわけです。

田家:あ、僕もそれに近いです(笑)。

朝妻:レコーディングの途中で「水橋くんさ、エヴァリー・ブラザーズのこの曲みたいなギターの音出してよ」って言ったら、「あれはギブソンで僕のはフェンダーだからダメです」と言われたりとか。

田家:朝妻さんが選ばれた6曲目は1988年のWinkのシングルなのですが、なぜこの曲を選ばれたのかは曲の後に。Winkで「愛が止まらない~Turn it into live~」。

Rolling Stone Japan 編集部

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