音楽本特集第一弾、朝妻一郎が語る音楽にまつわる権利と日本のポピュラー音楽史

田家:「J-POP LEGEND FORUM 最新音楽本特集2022」今週はパート1。アルテスパブリッシングから発売になった朝妻一郎さんの『高鳴る心の歌 ヒット曲の伴走者として』をご紹介しました。ゲストにお迎えしたのは著者のフジパシフィックミュージック代表取締役会長・朝妻一郎さんでありました。流れているのはこの番組の後テーマ「静かな伝説」です。



朝妻さんは洋楽ファンとしてキャリアが始まっている。60年代、70年代に音楽を好きだった人はほとんどがそういう洋楽好きで始まっているんでしょうけど、その度合いが違っていたということなんでしょうね。ビルボードのチャートが何位だったとか、新曲を出したとか、今度の曲がいいとか悪いとかというところではなくて、その曲の作詞作曲が何者でアレンジャーがどういう人で、その人たちがどこの出版社と契約してたかまで興味が深まっていった。本の中に亀渕昭信さんの話も載っているのですが、レコードのクレジットには全てのストーリーがあるんだと彼が言った。それを実際に現場で体験して、そのストーリーを作ってこられたのが朝妻一郎さん、そして音楽出版社の人たちなんだなと思いました。

著作権の中には原盤権があったり、録音権があったり、そういうところが動いていて。大滝詠一さんがナイアガラ・レーベルをエレックレコードで始めざるをえなかった。これは、CMソングに対しての理解が既成のレコード会社になかったからエレックになったんだと僕らは思っていたのですが、問題は権利だったというのが今日明らかになりました。まだまだ僕らが知らない音楽にまつわる真実のストーリーがあるんだなと思いました。サブスクの時代はレコード会社ということよりも、まず曲ありきという時代ですから、曲にまつわる話、アーティストにまつわるいくつものストーリーがまだまだ語られていないことがたくさんあるだろうなという素朴な感想でもあります。朝妻一郎さんにはお元気で、まだまだ知らなかったことを教えていただきたい。音楽ビジネスという枠を越えた日本の音楽史のレジェンドだなと強く感じながら、そしてそう思っていただけるとうれしいなと思いながら今週は終わります。本当に勉強になりました。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
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「J-POP LEGEND FORUM」
月 21:00-22:00
音楽評論家・田家秀樹が日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出す1時間。
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Rolling Stone Japan 編集部

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