BRAHMAN TOSHI-LOWが語る、己が「変わる」ために選んだ道

BRAHMAN Tsukasa Miyoshi (Showcase)

BRAHMANの映像作品『Three Times Three』がリリースされる。昨年12月31日のゼップ東京、今年1月13日の中野サンプラザ、1月20日の新木場スタジオコースト、3週間の中で行われた3公演をパッケージした濃厚な作品だ。

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こう書くと、過密スケジュールで毎回全力疾走する肉体派バンドの真骨頂のように思えるだろうが、3本のライブは驚くほど繊細で音楽的、なおかつ意味やストーリー性もそれぞれ異なる芸術性の高さを誇っている。

会場は奇しくも終わりゆくライブハウス。最期の看取り役を引き受けた彼らは、これまでどおりのパフォーマンスを投げ捨て、自らの意思で新しい今を掴み取る。そこでは「消えゆくもの」と「残されて生きるものの意志」が表現されているのだ。コロナ禍が浮き彫りにしたのは、このバンドの比類なき生命力である。

一この3公演はもともと映像化するつもりで進めていたんですか。

TOSHI-LOW:いや、全然。でもなんか変わったことやる時はカメラ入れて、どっかのタイミングで特典に使ったりできるし。もともと、一曲でも面白いことが起きるならカメラ回しておいたほうがいいかなって考えてるから。

一図らずしもすごい3連チャンになった、という感じ?

TOSHI-LOW:っていうか、普通なら断る案件だったからね。特にゼップとスタジオコーストに関しては「この日しかできない」っていうオファーだったし、スタッフ内はもう諦め気味で「やめよう」って話になってた。自分たちのツアー中だったし、同じ期間に同じようなライブがあるとお客さんだってどれを選んでいいかわかんないだろうし。でもそこで「やる」っていう方向にパチンと切り替えて。3回を全部違う内容にして、見え方も意味も違うものにして、一箇所ごと大切にできるんだったらやりましょうと。やっぱりライブハウスの最後ってことに後ろ髪引かれる気持ちもあるし、もったいないっていう感覚もあったから。でも形あるものはいつかなくなるからね。だったら、いちいち悲しまなくていいように、一箇所一箇所のライブをちゃんとやりきる、そういうライブを最後にもう一回やった、っていう感じ。

一そこは伝わります。そして話の核となるのはツアー「slow DANCE HALL」。昨年のツアー「Slow Dance」では静かな曲に特化するというテーマがあったし、それ自体がコンセプトになった。でも今回の選曲は、静かな曲だけでもなかったですよね。

TOSHI-LOW:静かの観点が変わってくる。当初は、物理的に静かな曲じゃないと成り立たないと思ってたの。でも自分たちの感情の抑え方、乗せ方によって、「静」か「動」だけじゃない、もっと真ん中になる曲が多かった。曲は同じでも、激しく暴れる曲に見せることもできれば、じっくり心を動かすように聴かせることもできる。ただ、後者を求めるならそのための演出というか、みんなの足をハッと止めさせる仕掛けは必要で。そこを突き詰めていけば曲の選択肢は増えていくのね。初めの頃「これは激しい、無理だな」と思ってた曲もできるようになっていったから。



一下手したら暴動になっちゃう曲は最初控えていた。でも「Slow Dance」を経たことで、そうならない信頼関係ができたってことですか?

TOSHI-LOW:うん……いや、暴動を起こすために今までやってたんだから(笑)。ワーって暴れて「何でもやっちまえ! お前ら、壁でも何でも乗り越えて来い!」みたいにやってたものをまず変えなきゃいけない。しかも、あなたたちはそこから動けないし声も出せないっていう現実を、こっちからお願いするんじゃない、演奏や演出で自然とそうせざるを得ないものにすりゃいいと思ったのね。もちろん今までやったことないことだから、自分たちでもよくわかんないんだけど。でも、やってみて気づいたのが、激しいと思ってた曲の中に激しさじゃないものもいっぱい入ってることで。



一それはすごく思った。結局、全曲が繊細だしメロディアスだったんだって、25年を過ぎた今ようやく気づいた感じ。

TOSHI-LOW:それを気づかせない技術だったんだよ、俺たちがやってたのは(笑)。山盛りのラーメンだと思われててよかった。でも実はいろんな食材入ってる。そんなの見せる必要もなかったし、感情がワッ!と爆発する瞬間だけでよかった。厨房見せて「実はここはトリュフで匂いづけをしてます」みたいな情報はいらねえと思ってた。でも、自分たちでも、今まで作ってきた曲に対して新しいものを見た感覚はすごくあったかな。

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