中川五郎が語る、フォーク・ソングとの出会いからコロナ禍までを描いた自叙伝

風に吹かれ続けている / 中川五郎

田家:本のタイトルが『ぼくが歌う場所 フォーク・ソングを追い求めて50年』。僕が歌う場所ということでお訊きするんですけど、年間まだ200本くらい歌っているんですか。

中川:数年前まではそれぐらいやっていたんですけども、2年前の新型コロナウイルスの感染が始まって、歌う場所がなくなって。それがちょうど僕自身が70代になる時期と重なっていて。もし新型コロナウイルスの感染拡大がなくても、今までみたいな歌い方、1カ月15回、20回日本中を歌って回るのはできないだろうと気づき始めていて。

田家:でもゴールデンウィークは1週間ぐらい大阪にいて、毎日歌ってらっしゃる?

中川:まあ、やっぱりね(笑)。変えようと思っても結局そうなるんですけども。

田家:ちなみに連休のスケジュールをお訊きしちゃっていいですか?

中川:4月28日から5月3日まで関西に行って、4月28日が大和高田のスカーフェイスというところで、4月29日が大阪新世界のL7(エルセブン)、4月30日が大阪の住道のクッカ、5月1日が大阪桃谷のマルコハウス、5月2日が江坂のぶんぶん堂、5月3日が大阪石橋の朝日楼と連続してやるんですけども。

田家:わーすごいなあ、体に気をつけて。

中川:これだけ連続してライブをやるのは久しぶりなんですけどね。コロナになってみんなが配信とか別の形で歌を伝えようというやり方を試みたりしている中であらためて思ったのは、僕が歌う場所というのは目の前に人がいる場所だなということにすごく気づかされたんですよね。自分はなぜ歌うかと言うと音楽が好きだからとか、いい歌を作ろうとか、上手く歌おうとかそういうことではなくて。目の前にいる人に想いを届けたい、言葉を届けたい、何かメッセージを届けたい、そして目の前にいる人たちからの反応を受け止めたいということで僕の歌が始まっていて、それは今も続いている。前に誰もいないところで歌うことはできないんですよね。だから、まさに僕が歌う場所は1人でもいいから目の前に聴く人がいてくれて、そういうところを毎日のように、今はもう無理だけど毎日のように回っていけるのが僕のやり方かなと思っています。

田家:歌い続けて下さい。ありがとうございました。

中川:ありがとうございます。


左から田家秀樹、中川五郎

Rolling Stone Japan 編集部

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