市原隼人が語る、『おいしい給食』を通して伝えたい「人生を謳歌する」ために必要なこと

『劇場版 おいしい給食 卒業』主演の市原隼人

給食をテーマにした話題作「おいしい給食」の劇場版第2弾となる『劇場版 おいしい給食 卒業』が5月13日より全国にて公開される。主演を務める市原隼人がRolling Stone Japanに同作への熱い思いを語ってくれた。

1980年代の中学校を舞台に、大の給食好きである数学教師・甘利田幸男と、彼の教え子である神野ゴウによる、どちらが給食を「おいしく食べるか」を競い合う模様を描いたユニークな学園グルメコメディ『おいしい給食』。その劇場版としてはおよそ2年ぶりの続編となる『劇場版 おいしい給食 卒業』が公開される。主演を務めるのは市原隼人。普段は冷静沈着な教師だが、給食の時間になるとハイテンションで踊り出し、心の底から美味しそうに給食を食べる甘利田の姿が口コミで話題に。これまでのイメージを覆すエキセントリックな役柄は、市原の新たな魅力を引き出すことにも成功した。好きなものにとことん向き合い、生徒たちとも対等な立場でぶつかっていく甘利田幸男というキャラクターは、あらゆることを制限されたコロナ禍で生きる私たちに何を教えてくれるのだろうか。この役に並々ならぬ思いがあるという市原隼人に話を聞いた。

──このたび劇場版としては『劇場版 おいしい給食 Final Battle』から、およそ2年ぶりの続編となる『劇場版 おいしい給食 卒業』が公開されることとなりました。改めて今の心境をお聞かせいただけますか?

市原:こうして劇場版第2弾が無事完成したのも、『おいしい給食』を好きになってくださったファンの皆さまのおかげです。本当に感謝しかありません。みなさまに恩返しがしたいという思いで撮っていました。本作は舞台が1980年代、人と人とが密になって称え合い、支え合ってきたこの時代の雰囲気が僕はとても好きなんです。主人公・甘利田幸男が滑稽な姿をさらけ出しながらも、「好きなものは好き」と貫き通し、人生を謳歌している。そして、生徒たちとも対等に向き合い、負けた時は素直に負けを認める。こんな素敵な人は、なかなかいないと僕は思うんです。そして、そんな素敵な役を、こうして再び演じることが出来てとても嬉しいです。


(C)2022「おいしい給食」製作委員会

──そもそも『おいしい給食』は、2019年10月から放送されたテレビドラマからスタートした作品です。市原さんは当時、この作品のどんなところに魅力を感じてオファーを受けたのでしょうか。


市原:まず、書き下ろしの完全オリジナル脚本であることに惹かれました。 「給食をテーマにした作品? なんだそれは?」と思いましたし(笑)、どういう展開になるのか全く予想がつかないところも魅力を感じました。しかも本作を企画し脚本を書いてくださった永森裕二さんの台本の中には、現場で遊べる「余白」をたくさん作ってくださっていたんです。甘利田幸男をどう演じるか? についてもたくさんの選択肢がありましたし、その中から僕が演じたときに「どう面白くなるか?」を試行錯誤できそうだと思い、そういうところにもやり甲斐を感じました。

──今おっしゃったように、この作品は市原さん演じる甘利田幸男の強烈な存在感が重要な要素を占めています。市原さんにとってもチャレンジングな役どころであり、同時に市原さんの新たな魅力を開拓したキャラクターだと思うのですが、役作りに関してはどのように詰めていったのでしょうか。

市原:前作で初めて甘利田の役を作り込んだときはとても大変でした。衣装もいろいろ試しましたし、どの場面で眼鏡をかけるのかどうか、仕草はナチュラルがいいのか、コミックのキャラのように突き抜けたオーバーアクトがいいのか……等々、クランクイン前日まで監督と電話で話し合いながら、それでもなかなか定まらず、本当にいろんなことを考えまくりましたね(笑)。いざ演じてみると、「もっと、もっと」という欲が出てきてしまって。気がついたらあんなエキセントリックなキャラクターになっていました。

台本の中には、甘利田がどう動くかなどの具体的なことは書いてないので、給食を食べている時のリアクションはどうするのか、どう踊るかなどは全て自分で考えました。今までいろいろな感情表現を必要とする役も演じてきましたし、アクション作品にも挑戦してきましたが、どの現場よりもハードな現場でした。

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