BEYOOOOONDS初武道館公演、「楽しすぎて泣きそうになる」という唯一無二の感覚

「BEYOOOOOND1St CONCERT TOUR どんと来い! BE HAPPY! at BUDOOOOOKAN!!!!!!!!!!!!」

2019年12月に行われたBEYOOOOONDS初の単独公演「LIVE BEYOOOOOND₁St」は衝撃的な楽しさだった。1stアルバム『BEYOOOOOND₁St』を基本にしながらも、ライブ仕様の寸劇やアレンジを盛り込んだり、数多くの小ネタを挟むなど、細部にわたる演出によってこれまでになかった<歌・ダンス・寸劇>をベースにしたグループが持つ可能性を我々にてんこ盛りで提示してくれた。

【写真を見る】様々な葛藤や努力を経て迎えた日本武道館公演

そこから数カ月が経ち、世界はコロナ禍に飲み込まれた。BEYOOOOONDSも初のツアーやホール公演が中止に追い込まれるなど受難は続いた。しかし、彼女たちはただでは転ばなかった。YouTubeに活動の場を見出し、数々の企画を実行に移した結果、グイグイとチャンネル登録者数を伸ばし、新規ファンを獲得した。そして、単独公演こそなかなか行えなかったものの、ハロー!プロジェクトのコンサートや自身の主演舞台でメンバーそれぞれが己と向き合い、スキルを磨いた。そうやって様々な葛藤や努力を経て迎えたのがグループ初となる日本武道館公演「BEYOOOOOND1St CONCERT TOUR どんと来い! BE HAPPY! at BUDOOOOOKAN!!!!!!!!!!!!」だったのである。

BEYOOOOONDSは開演前から面白かった。開演直前に映像で登場した12人のメンバーが、のちに披露する新曲「涙のカスタネット」で叩くカスタネットの演奏指導をしたのである(カスタネットは会場物販とオンラインで販売されていた)。拍手の代わりに盛大に鳴らされる小気味いいカスタネットの音色は、あっという間に場内を和やかな雰囲気で包んだ。



オープニング映像ではストリングスの音とともに渋谷の雑踏や逆再生される砂時計が映し出され、メンバークレジットが流れていく。意外にも重々しく、緊張感のあるスタートだった。そんな空気の中、メンバーが北方向からランウェイを渡ってセンターステージへと向かうと、6300人による温かい拍手がそれを出迎えた。場内が息を呑むなか、それぞれの持ち場についたメンバーによる台詞回しがはじまったのだが、寸分の狂いのないタイミングで複数のメンバーがセリフを発していく光景は鳥肌モノで、そのあまりの迫力に涙が出そうになった。みんなには手がある――これがこの場で繰り返された言葉だった。こうしてオープニングナンバーへとバトンが渡されるのだった。

序盤で印象的だったのは「きのこたけのこ大戦記」。音源だと少々長尺に聴こえるが、パフォーマンス込みで観るとむしろ見応えがあって楽しい。センターステージから伸びるランウェイの先にある南のサブステージで、誰がきのこ派とたけのこ派による戦いの仲裁に入るかじゃんけんで決めているSeasoningSの平井美葉、小林萌花、里吉うたのの演技がよかった。大きなステージだからこそ、その可笑しさがより伝わる。この日、最も印象に残った曲のひとつだ。

全編を通して、全体的な歌唱力の底上げが目立った。山﨑夢羽のように元々ずば抜けた歌唱力を持っているメンバーはその迫力がより一層増し、歌がそこまで得意でなかったメンバーも目を見張るような成長を遂げていた。歌で魅せる場面は非常に多く、島倉りかのドスの効いたボーカル、高瀬くるみと平井によるユニゾンなど、印象的な歌唱が次々と披露された。



ダンスも見応えがあった。序盤はメンバーごとに異なる振付の曲が多かったためそこまで目立たなかったが、「激辛LOVE」や「Now Now Nigen」といった楽曲で見せた統率のとれたフォーメーションは実に美しかった。





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