米団体指導者、女性信奉者の尊厳を蹂躙 性的行為も【長文ルポ】

Photographs in illustration by Keilan McNeil



「ネクセウム」との共通点

マッサロはというと、今も精力的にソーシャルメディア活動を続け、葉巻をくゆらせたり、足跡が点在するのどかな白い砂浜に踵をのせてくつろぐ自撮り画像を投稿している。頻繁に投稿される彼のメッセージは、以前と変わらず難解だ。「私は有機的には人間だ。エネルギー的には、人はエイリアンと呼ぶかもしれない。本質的には神だ」とは、最近投稿したInstagramストーリーの質疑応答の答えだ。背景にはフライパンにのったクレープと思しき写真が写っている。「ちなみにこれは全員にも当てはまる」

投稿のコンテンツ以上に不可解なのは、マッサロが一体どこからこれを投稿しているかだ。彼は今もNo Limits Society名義で1カ月199ドルのZoomライブ講座を提供しているが(登録者は事前に秘密保持契約に署名しなくてはならない)、所在地に関しては明らかにしていない。元信奉者の間では、かつてセドナで試みたように、南アフリカに渡ってどこか1か所に腰を据え、何らかの思想コミュニティを始めるつもりではないかという憶測が飛び交っている。当然ながらマッサロもこの点に関してはお茶を濁している。「数週間南アフリカを訪れて何回か講座を開いたが、それだけだ」と本人。だが彼がどこにいようとも、97万人近いFacebookのフォロワーと10万2000人のYouTube購読者は彼の一挙手一投足を見守り、一語一句聞き漏らすまいとしている。

そういった理由から、グラハムさんやアレクトラさん、マッサロの元信奉者たちはあえて声を上げることにしたと言う。とりわけ激動の時代に人生最大の問いの答えを求める人々が、彼の罠に引っかからないようにするために。「世の中には助けを求める弱い人たちがいます」とアレクトラさん。「気づけばオオカミが鶏小屋に入ってきてしまうでしょう」

マッサロの元を去ってすぐ、アレクトラさんは母親の家に戻り、幼少期を過ごした部屋で過ごした。ベッドの中でNetflixを見たり、天井を見つめたり、マッサロに出会ってから人生がどれほど変わったか思いをめぐらせた。体重はいつもより35ポンドも増えた。マッサロや仲間たちと過ごした結果、豪奢な場所で高級ディナーや高級ホテルに金をはたき、1万ドルを失ったそうだ。「彼は私を隅々まで洗脳しました」と本人。「彼は私という人間を消し去った。今まで持っていた確かな思考に疑いの目を向けるようにさせたんです」

ネクセウムやラニエールをテーマにしたHBOのドキュメンタリー『The Vow』を見たのもちょうどこのころだ。グラハムさんと違ってアレクトラさんは、幻滅したネクセウムの元信者に自分の姿をすぐには見いだせなかった。若くて魅力的で、仕事でも成功した裕福な人々が、魂の救済を求めて人生の全てを投げ打ち、自称現存するもっとも賢い人間に従属する。「バカじゃないかしら、と思いました」と本人。「私だったらキース・ラニエールみたいな人には絶対騙されない、と思いました」(自分の組織がネクセウムと比較されることに対して、マッサロ本人はコメントを控えた。「彼らのことは全く知らないし、実際に起きた事件も、ましてや組織に向けられた疑惑も知らない。したがって知的なコメントはできかねる」と本人)。

だが弟子として、またパートナーとしてマッサロと過ごした時間を振り返るうちに、アレクトラさんにもラニエールとの共通点が見えるようになってきた。ラニエールの取り巻きが子犬のように彼の後をついていき、新たに獲得した知識という贈り物に目を輝かせ、彼の言葉をかみしめる様子。ラニエールが女性たちに性差別的な役割を割り当て、過剰に「女性的」「男性的」にならないよう諭す様子。ラニエールの多重恋愛ぶり、そして最終的には慣習にとらわれない性生活を利用して、パートナーたちを支配していった様子。

だがラニエールが逃亡先のメキシコの漁村で逮捕された時(彼は児童性的搾取、性的人身売買陰謀などの罪で有罪判決を受け、懲役120年を言い渡された)、彼は58歳だった。マッサロは現在34歳。このことが頭に浮かんだ時、アレクトラさんもハッと気が付いた。「私たちにはまだ雑草を刈り取るチャンスがあります」と本人は言う。「手遅れになって、容易に駆除できなくなる前に」

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from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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