Charのギターはなぜ輝き続けているのか?―春畑さんはCharさんとのコラボレーションを通して新たな刺激みたいなものを得たと思うのですが、今の時代の音楽感をどういう風に考えていますか?春畑:僕はチューナー使って当たり前のレコーディングをして。エフェクターモードもあちこち踏まないで、プログラムして楽な状態でやってるんですよね。Charさんのシステム見せてもらって、なんてシンプルなんだ!と思って。ワウのカッティングに入る時も、あんまガチャガチャ音作りしないんですよ。
Char:確かに春畑くんぐらいの世代から、エンジニアもミュージシャンも数字で話ができるようになったよね。何とかデシベルとか。ディレイは440とかっていう時代の人だから、それは常識なんだと思う。
春畑:本当に衝撃で。ライブもレコーディングも、耳で合わせて、はい、録ろうって録るから。でもそれが原点だし、当たり前にできなきゃいけないことですよね。だからもっとそうありたいなって。ゴルフ中に僕は距離を距離計で測るんですけど、ピンフラッグまで、よし125ヤードとか思ってたら、Charさん僕の後ろ通り過ぎながら、「125」って言うんですよ。
―えっ!? Charさん、目測でわかるんですか!Char:なんかさ、ゴルフも結局そうだと思うんだけど、感性なんだと思うんだよ。同じことを繰り返すのも、人間だから1回目と2回目のフレーズが違ったりするわけ。要するにサンプリングして繰り返してるわけじゃないから。例えば「クロスロード」のリフって何回やってるか知らないけど、あれも一番いい音サンプリングして繋いでみても、面白くないと思うんだ。
―面白くないしあの尺は聴けないですよね。Char:聴けない。もちろん「クロスロード」はソロも素晴らしいんだけど、そういうことだと思うんだよ。下手すると失敗するフレーズもあるし、それで良いと思うんだ。ましてやあれはライブだから。で、それって全ての実生活の中で言えると思うんだよね。だって人間も動物だから感性で生きてるわけだから。けど、今の携帯だデジタルだ何だっていうところで、本来持ってるアンテナをあえて尖らせられなくなってる。デジタルの方が偉くなっちゃってて。まぁデジタルだと誰でもわかるから。けど特にアートの世界は、感性が100%の中でやるべきだと思う。そこに人は感動したりするんじゃないの? もしくは、好き嫌いが出ていいんじゃないのかな。
春畑:Charさんファンのミュージシャンが回りにたくさんいるので、Charさんのエピソードとして、チューニング、メーターを使わないでレコーディングしたって言うと、みんな驚くんですよ。で、その音源の中でのCharさんならではの存在感って、みんなと同じところに合わせないからじゃないかっていう分析をして(笑)。
―Charさんはなぜ輝き続けているのか? その答は……。Char:チューニングをしないから(笑)。
―(笑)。これ、春畑さんも次ツアーはチューナー使ってない可能性ありますよね?春畑:アハハ。で、めっちゃ音程悪いっていう(笑)。
Char:もともとムスタングはチューナーなんかで合わせられる楽器じゃないから。
―今日、春畑さんが撮影で持ったCharさんのムスタング、本当に春畑さんにプレゼントしちゃうんですか?Char:あげるって言っちゃったからしょうがない。
春畑:やった!
Char:本当はゴルフ勝負で賭けようと思ってたんだけど(笑)。そっちは商品何出そうかな(笑)。
―なるほど。せっかくのご縁なので、また音楽でご一緒する機会を見てみたいですね。Char:もちろん!
春畑:お願いします。
―こういう新しい出会いは音楽業界にとってどんどんプラスになっていくと思うので。Char:まぁね。音楽やロックはやっぱり動いてるもんだから。昨日あったことは昨日あったことでっていう感じで生きていかないと、新しいものは生まれない。そのためにミュージシャンは曲を書くこと。どんなのでもいいから。曲を書くことで自分のスキルを上げていく。曲を書くということは、作曲の練習だけすることじゃなくて、子供の頃からそれ以外のことにも興味を持つ。社会情勢であったり、もしくは好きな文学であったり、全然関係ないことをやったりしないと。
―だと思います。最後に、春畑さん、この場を借りて、Charさんにお願いごととかありますか?Char:もうギターもやったらからこれ以上あげるもんないよ。曲もあげてギターもあげて。
春畑:今、ご満悦なんです。
Char:このムスタングもう絶対離さないって顔になってる(笑)。
Photo by Mitsuru Nishimura<INFORMATION>
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