未解決事件の謎を解くダイバー集団、YouTubeで人気 米

警察との関係はおおむね「良好」

2021年1月、AWPは他のダイバーを誘って、ナッシュビルでビル・シモンズさんの捜索を行った。57歳のシモンズさんは6カ月間行方が分からなくなっていた。この時、サイズさんは車の引き揚げ方を学んだ。その日はシモンズさんの発見に至らなかったが、チームは後日発見した。以来、サイズさんは失踪者の捜索に夢中になった。「自分のしていることに娯楽以上の価値や理由を持たせたい、という気持ちでした」とサイズさん。「人助けにもなるんだ、と思ったんです」

そうした思いはユーザーの心にも響いている。ロビンソンさんの発見以来、AWPも変わった。「ユーザーから、車ごと行方不明になった友人や家族の未解決事件が送られてくるようになりました」とビショップさん。2020年以降、AWPは20人の行方不明者の遺体を発見しているそうだ。

サイズさんがお宝発掘から失踪者捜索にシフトすると、閲覧回数も急増した。2021年中盤、彼は出張タイヤ修理の仕事を辞めてYouTubeを本職とし、物販の売り上げや寄付、有料購読で広告収入を補った。2021年末にフォスターさんとベクテルさんを発見した時には、フォロワー数が3倍に増えた(現在のフォロワー数は約36万人)。オーディエンスにも変化が起きている。かつてはダイバー仲間やお宝発掘仲間だったのが、今では捜査の状況や進展を見に来る人がほとんどだ。「こうした動画を見に来る失踪者コミュニティはものすごく協力的ですよ」と彼は言う。

サイズさんをはじめとするダイバーは、素人探偵としての役割を真剣に受け止めている。サイズさんは行方不明者の車を見つけたら、牽引車ではなく警察に連絡する。いったん警察が到着したら、邪魔はしない。「警察が後を引き継ぎ、我々は観客側に回ります」とサイズさん。ここまでのところ、警察との関係はおおむね良好だというが、ローリングストーン誌が取材した別のダイバーによればギクシャクすることもあるという。例えば2020年、AWPは失踪した17歳のニコラス・アレンさんの遺族とともに、警察がやって来て車を引き揚げるのを待っていた。AWPが撮影した動画には、警察が遺族に無碍な態度をとり、「車内に息子さんの遺体があるとは保証できない」と言うのが聞こえる。「ええ、でも少なくとも私の車です、だからお願いしたんじゃないですか――せめて確認だけでもしてくださいって」と母親。アレンさんの遺体は回収され、のちに保安官事務所は遺族に不謹慎な態度を取ったことを謝罪した。

Translated by Akiko Kato

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