マネスキンが語るロックバンドとしての信条、よりよい社会のために声を上げる意味

2022年4月17日、コーチェラ・フェスにて撮影(Photo by Frazer Harrison/Getty Images for Coachella)

 

母国イタリアとウクライナへの想い

―新曲「SUPERMODEL」についても聞かせてください。今までにないスタイルでマネスキンの表現の幅を広げるような曲だと思いましたが、どんな風に生まれた曲でしょうか?

トーマス:LAから受けたインスピレーションが多く反映していると思う。LAの雰囲気から刺激をもらって、これまでの曲とは違うムードを探究した。よりゆったりとチルアウトした、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのようなノリをイメージした。これまでとは違う雰囲気だけど、今回は新作の曲作りをロサンゼルスでやって、そこで過ごした時に感じたものを曲で表現できたのは良かった。

―曲を作る場所によって違うサウンドが生まれるのは面白いですね。

全員:そうそう。

ダミアーノ:音楽というのは環境に影響されるものなんだ。世界中の様々な文化における伝統音楽をもそうだし、生まれた環境によって音楽の趣味や音楽の感じ方も変わる。あと、今回バンドとして初めて夏にシングルを発表するというのも、一つのチャレンジだった。これまで「夏っぽさ」とは無縁だったからね。でもこの曲にはそれがある。狙ったわけじゃなくて、自然とそうなった。出来上がった時、「これは新鮮だし、キャッチーだし、ユーモアもあって夏にぴったりだ」と思ったんだ。

―歌詞は曲に触発されて書いた? それとも同時に生まれた?

ダミアーノ:同時だね。歌詞はLAのナイトライフにインスピレーションをもらった。俺から見ると違和感を覚えるから、曲の中でチクリと刺している。


「SUPERMODEL」ユーロビジョン2022での凱旋パフォーマンス

―ちなみに、マネスキンの音楽性にとってイタリア出身のバンドであるということは重要なポイントですか?

ヴィクトリア:私たちの音楽はイタリアでは超亜流に入るから、音楽的にイタリアを代表しているという感覚はないかな。ただ、これまで国外で成功したイタリアのバンドはほとんどいないから、その点は凄く誇りに思ってる。

トーマス:実際コーチェラで多くの人から「君たちのライブは凄くエネルギッシュでパワフルでめちゃくちゃ良かったよ!」と言って貰えたのも、イタリア人として誇り高いことだった。ヴィクトリアが言ったように、これまでそういう評価を得たイタリアのバンドはほとんどいないからね。

ダミアーノ:イタリア出身であることは、むしろ自分たちの人となりだったり、人との接し方に現れているものだと思う。

―「Mammamia」はユーロビジョン後の激変した環境がインスピレーションになっているように思いますが、あの曲は自分たちにとってどんな位置づけでしょうか?

ダミアーノ:あの曲は特定の何かについて書いたというよりも、思っていることを思いつくがままに綴った。ちょうどユーロビジョンを終えたばかりの時で、ドラッグ騒動の真っ只中にいた。当然俺はめちゃくちゃムカついていていた。でも大人の対応がしたくて、曲を書くことにした。自分たちは超イカしたことをやってると思っていたし、ユーロビジョンも優勝して、ヨーロッパで人気が爆発した。自分たちがやったことに凄く誇りを持っていたのに、ネガティヴなことばかり取り上げようとする人たちがいた。そのことについて歌っている。俺たちは最高に格好いいことをやっているのに、中には俺たちに泥を塗って悪者にしようとする連中がいる。だから、そいつらを揶揄ったんだ。



―コーチェラでもプレイした「We’re Gonna Dance on Gasoline」は“Stand up for Ukraine”キャンペーンのために書き下ろされた曲ですが、こういう曲を書こうという衝動はどのように生まれてきたんでしょうか?

ヴィクトリア:ちょうど新作の曲作りをしている最中で、毎日曲を書いていた時に、あの酷い出来事(ロシア軍によるウクライナ侵攻)が起きて、当然私たちも動揺した。今、この時代にあんな狂ったことが起きるなんて信じられなかった。あんなにいとも簡単に人々の人権が侵害されるなんて。頭のイカれた人たちのせいで、何の罪もない人たちが酷い目に遭わされるなんておかしいと思った。だから私たちもウクライナを支援するキャンペーンに参加しようと思ったわけ。私たちはミュージシャンだから、音楽を通して団結を表明するのが自然だし、ファンのみんなにも彼らのことを思っていると伝えたかった。あと、正しいことのために立ち上がらないと、と思った。最近は怖がって自分の意見をはっきり言わない人が多い。声を上げることで一部のファンを失うのが怖いのかもしれない。でも私たちは、今回のような状況では、みんなが声を上げることが大事だと思っている。これだけ酷い状況だったら、誰が見ても正しいのは何かはっきりしているでしょ。だからあの曲を書いたの。

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―コーチェラではチャップリンの映画『独裁者』の有名な一節と共にこの曲をプレイしていましたね。

ダミアーノ:あの一節と共にあの曲を披露したらクールで意味があると思ったんだ。パオロ・ヌティーニの「Iron Sky」であの一節を最初に聴いて、その意味の深さと重みに心を打たれた。だから自分たちの曲もあの一節を添えたらよりパワフルになって、強く訴えられるんじゃないかと思った。それに、曲の背景を知らない人たちが、ウクライナの状況をもっとイメージしやすくなると思ったんだ。

Translated by Yuriko Banno

 
 
 
 

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