MINMIが語るデビュー20周年の歩み、5年ぶり開催のフェス「FREEDOM」への想い

ーデビュー翌年に発表されたアルバム『Miracle』を聴くと、やっぱり洗練された強さというか、気迫のようなものを感じます。

MINMI:強く自分の我を通したいっていうわけじゃなくて、みんなで一つのゴールに向かって進みたいと思っていたので、喧嘩したわけじゃ全然なくて。でも、噛み合わないところもあったので、たとえば「アイの実」って曲をリリースしたときに、「こういう愛の歌とか、柔らかい感じとかじゃないんだよ、「Perfect Vision」みたいなのをやってほしい」と言われて。私としては、そのときに感じているものをストレートにぶつけて発信していきたいのに。

ー枠組みというか、イメージを作られてしまった。

MINMI:強くて、ちょっと攻撃的な感じっていうイメージですよね。それですごく悩みましたね。みんなで一丸となってやっていきたいし、貢献したいと思いながら、期待に沿えられていないということも感じていた。みんなが「こういうものが売りたい」と思っているものと、自分がアーティストとして表現したいことのギャップにすごく悩んでいました。



ー振り返ってみると、2000年代前半はジャパニーズ・レゲエのブームというか、オリコン・チャートにもどんどんレゲエの曲が入っていって、CDも何十万枚、何百万枚の規模で売れたり、大きな会場でフェスもやったりという状況でしたよね。そこにおいて、若い女性ソロ・アーティストだったということですごくプレッシャーなどあったのでは? と思ったんです。ご自身の中では、そうした状況とどのように戦っていましたか?

MINMI:いやもう、本当に戦っているから〈Take It To The Top〉と歌った「T.T.T.」という曲もあったわけで(笑)。デビューするという夢を叶えて東京に来たものの、友達や仲間に会えず、そういう環境下で、ギャップを感じながら常に(曲を)生産していかなきゃいけなくて。生半可な気持ちだったら多分辞めていたと思いますが、辞めないことを誓って東京に出てきていたので、とにかく「それでも辞めない」と思いながら続けていました。2作目として作ったのが『imagine』ってアルバムで、これはなぜ作ったかというと、当時は「ありのままの自分じゃダメだ。じゃあ、何を作ればいいの?」という心境だったんです。いつまで経ってもデビュー曲の「The Perfect Vision」がトップ・セールスで、それを超えられない。自分の思うベストと、スタッフのベストが違うから、ずっと試行錯誤していました。アルバムに収録した「imagine」って曲で「もっと自分は羽ばたいていきたい」という思いを曲にしたもので。



ー〈心の炎よ 天高く昇れ、私〉という歌詞はまさにご自身を鼓舞するために書いたものなのですね。3作目は『NATURAL』というアルバムで、これも渾身の作品という印象があります。

MINMI:はい。ジャマイカに行ったときに、ベテランのすごいアーティストに対して、褒め言葉として「あなたは本当にナチュラルだね」と言っていたのを見たんです。その時に、「すごい人って、最終的にはその人らしさなんだ」と思って。だから私も、外に答えを見出すんじゃなくて、自分らしいということを大事にしていこう、と思うようになって。でも、自分が囲まれていた東京のビジネスの世界では「あなたらしさを求めている」なんて誰にも言われないし、本当に「自分のありのままの声を出していい」と言っていいのかどうか分からなかったけど、「なんだか、そんな気がする」と思って作ったアルバムです。

Rolling Stone Japan 編集部

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