THE 2の古舘佑太郎と加藤綾太が語る、「過去を未来で肯定する」ために

「自分の思う道で頂上を目指したい」

—「恋のジャーナル」は、以前からライブでも披露されてたとか。いつ頃できた曲なんですか?

古舘:2年以上前ですね。僕が「話したい」って加藤を呼んで、「ギターロックで10年ぐらいやってきてるけど、天下の背中も見えてこない、これって他の人がやってくれてるから俺らがやるべきことじゃないんじゃないか」って話したんです。何気ない1日ではあったんですけど、「恋のジャーナル」の卵はあの日誕生したような気がします。周りからはロックバンドのボーカル像みたいな期待をしてもらってた部分もあったけど、ずっと、ちょっとサイズ合わない服を着てるみたいな感じがあったから、そこでもう背伸びしなくていいんだって思えたことで、寂しいってよりもホッとした部分があったんです。それで加藤にも、「側から見たら全然ロックじゃないって言われるようなことでも、自分の思う道で頂上を目指したい」って話をして。で、その答え合わせとして(山口)一郎さんに会って同じようなことを話したら、「いつか言ってくると思った」って言われて。そこから、「じゃあその実験応援させて」って、スタジオ使っていいよとか、ちょくちょく連絡くれるようになったんです。その時に「恋のジャーナル」の原型となる曲を聴いてもらっているうちに、プロデュースしたいって言ってくれて。僕も加藤も今までずっとギターロックやってきちゃってるんで、はみ出したいって気持ちがあっても混乱している部分もあったから、自分たちを魔改造するために一郎さんのスパイスに飛び込んだ感じですね。

—「恋のジャーナル」は作曲が加藤さんで、作詞が古舘さんですけど、どっちから先にできたんですか?

加藤:僕がつくったデモが原型ですね。

—古舘さんからの話を意識してつくった?

加藤:そうですね。今までにないアプローチだったり、曲の毛色だったりを意識して、その時期に5、6曲ぐらい書きました。その時は全然ダンスビートとかじゃなくて、ガレージロックなんだけどちょっとサイケっぽい要素がある感じの曲だったんです。でも、「これ1番いいよ」って言われたときは爆笑しました(笑)。俺としては意外だったんですよ。シングルっぽさを意識して作った曲はそんなにフックしてなくて、「恋のジャーナル」の原曲となる曲に一番ひっかかってくれていたんですよね。

古舘:加藤と長年やってきた法則として僕の中で1個あるのが、お笑い芸人さんにもよく言われることなんですけど、2人で10あるとしたら、やってることが5:5の時が5×5=25で最大になるっていう法則。例えば6×4とか7×3とかになると、24、21ってどんどん数が減ってっちゃうんです。2の時に、僕は詩だけでオケにも何にもタッチしないし、Pちゃん(加藤)も、僕が書いた詞をただ一緒に録音していた、完全分業制でやっていた時があって。僕らとしては効率よくどんどん作品ができてくから、これいけるっしょみたいな感じだったんですけど、お客さんに刺さらなかったんですよね。だけど今言ったみたいに、効率も悪いし、ほんと真逆の人間なんで意見が割れる時もありながらも、2人で5:5に混ぜて作った曲が1番はねるって気づいて。「恋のジャーナル」はまさにそうなんです。過去曲だと「DAY BY DAY」とかは、偶然レコーディング直前に締め切りギリギリになっちゃって、2人でぐちゃぐちゃになりながら焦って作ったんですね。でもそれが、リード曲のつもりはなかったんですけど、ライブでめちゃくちゃ盛り上がるようになった。これも理想の5:5曲だなって思います。

—お客さんのウケを考えるよりも、2人の間で生まれるものを大事にした方が結果的によくなる?

古舘:あ、でもウケるなとかは、ちゃんと考えてはいます。というか18の時から今まで作った曲、全部ヒットすると思って作ってるんですけど、全然ヒットしなくて。もちろん時代も変わっていくし僕も変わっていくから、その都度狙いも変わってきてるんですけど。でも「恋のジャーナル」は自分たちも楽しいし、聴いてくれる人にも楽しんでもらえるバランスがすごくいい曲になってる気がしますね。自分だけ気持ちいいとか、逆に「みんなに聴いてもらいたい」が勝ちすぎて自分の楽しみが空っぽな曲とかは響かない。

加藤:僕も同じで、絶対にこれはヒット曲になるでしょって思ってもヒットしたことがないです。分業にしてる意味は確かにあって、自分じゃ思いつかないものを(古舘に)もらって組み立てていく作業を落ち着いてできたのが、「恋のジャーナル」なのかなって思いますね。


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