THE 2の古舘佑太郎と加藤綾太が語る、「過去を未来で肯定する」ために

「地獄から這い上がってきた4人」

—MVの衣装はアーティスト写真にも繋がりますよね。

古舘:「地獄から這い上がってきた4人」っていうのがテーマになってるので、一応根底では繋がってますね。自分の個性とか才能なんてもうわかんない中、いろんな人との出会いに励まされてやれてますけど、ナーバスな意味じゃなく、どこか死に場所を探してるところがあって。作品を出す度に世に握手を求めて、でも思った以上に握手を返されたことがなくて、それが悔しくてまた次の場面になって、時には瀕死状態になったりして、でも諦めきれない。でもそれって世の中が悪いんじゃなくて、結果自分なんですよ。自分の表現方法がオナニー的だったり、自己完結的だったことが多くて。音楽やってるのって、僕はどっちかっていうと世の中と握手したくてやってる。こんないいもんできたんだぜって、みんなと共有したいがためにやってきてるような気がして。諦めた時に、自分が満足できればいいやって気持ちになった時もあったし、自分を応援してくれてるファンの皆さんが喜んでくれることだけ考えた時もあったけど、でもやっぱり曲が1人歩きしてほしいって気持ちがあるんですよね。さっき言った虫でいうと、羽になって僕をどこかに連れてってくれるんじゃないかってところに、いっつも立ち帰ってきちゃうんです。今回世の中にもう1回、手を差し出してる感じはしてますね。ここから出していく曲に関してはみんなと仲良くしたくて出しているので、仲良くできなかったら、ここが自分の個性とか才能の死に場所だなって諦めつくというか、1個枷が外れるぐらいの気持ちでやってますね。

—バンドを続けるのに、才能ももちろんですけどそれ以上に意思の力が必要で、それがTHE 2のテーマなのかなって思います。

古舘:そうですね。前のThe SALOVERSってバンドだったら、部屋に籠って幼馴染と楽しく音楽やれればそれだけでよかったんですよね。でもTHE 2に関しては、過去を未来で肯定するってコンセプトがあって、過去を越えて輝いていくことによって、今までやってきたことを全部肯定したい。だからでかいステージでやりたいって思いは、昔とは比にならないぐらい強くなってますね。そこに対する照れがなくなってきたような感じがします。今まで応援してきてくれた人とか、僕ら4人それぞれのバンドのメンバー、元メンバーとかスタッフさん、あらゆる出会いと別れを輝かせるためには、多分僕らが売れる以外ないんですよね。それがバンドのめっちゃいいとこだと思うんですよ。99失敗とかしんどいこと、ダサいことだらけでも、その1の輝きで覆せるというか。1のでかいステージで、その99が全部ひっくり返って輝き出す。その可能性を秘めているバンドをやれてることが、人生かける価値あるなって思うんですよね。その1を掴み取りたくて続けてるんだと思います。

加藤:今回活動休止してみて、続けることって改めて1番難しいことだなって思って。じゃあどうしたらいいんだろうって考えたときに、誰とやるかが大事なんだなって思ったんです。自分が尊敬してる人とか、信頼してる仲間とできてることがまず大事なんだなっていうのは、当たり前なんですけど、改めて認識したっていうか。もちろん辛いことも多かったですけど、ささやかな楽しみを分かち合える仲間がいるってだけでも、自分なんてまだ恵まれてるんだって感覚になってるので。もちろん続けたいって気持ちもあるんですけど、それよりも、一緒にやってる人たちのことを考えるようになってきましたね。今までは「俺が」とか「フルが」だったと思うんですけど、ちゃんと仲間意識を持てるようになってきました。

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