Kroiが語る、独創性の中に秘めた「音楽の本質」

「理路整然としないように、荒々しくなるように」

―キーボードのプレイもそうですけど、アレンジやミックスまでやれる千葉さんがKroiにいることがやっぱりすごく大きいんじゃないかと、この1年改めて思ってました。

千葉:いつも怜央から出てきたデモを10〜20回くらい通して聴いて、細かい音とかも聴きながら完成形を考えるんですけど、今回の場合だとシングルで出るしタイアップでテレビで流れるから、わりと迫力ある感じにしたいなと思って。それが上手くできた曲だなと思っていますね。たとえばサウンドの厚み、音場、鳴っている音の広さとか、そういうところがこの曲においてはどう聴こえるのがベストなのかをデモから判断して、パソコンを開いて作業して、ということをいつもレコーディングまでにしているんですよ。レコーディングのときには、そのあたりもイメージしやすいような段階まで持っていったものでみんなができるように、ということを家でやっている感じですね。


千葉大樹(Key)Photo by Mitsuru Nishimura

長谷部:ミックスも千葉さんがやってくれているので、録る段階でそういうところを話し合えると連携がしやすいというか。ミックスをやってる分、デザインもしやすいのかなとは思いますね。

―Kroiの音楽って、商業音楽の様式にハマらない自由さがあるというか、「理路整然」とは違うベクトルに向かっていると思っていて。曲を書く段階からミックスまでバンドとしての意志をここまで貫いてパッケージできるのは、やっぱりメンバーである千葉さんがミックスまでやっていることが大きいですよね。

千葉:そうですね。理路整然としないように、荒々しくなるようにやるというところは、結構大事だと思います。そこはすごく気をつけてやっていますね。

―ここまで自由に、「理路整然」ではない方向で、音楽の中で遊ぶことをメジャーシーンでやり通すって、なかなか簡単なことではないから、本当に尊いことをやっているなと思います。

内田:周りの方々に感謝ですね。

関:本当にそう(笑)。スタッフ陣も何もかもが、もう本当にありがたい人たちなので。

千葉:曲について何も言われたことないです。

長谷部:「かっこいいね〜」ってだけ(笑)。

関:俺らが「これやりたい」って言ったらやらせてくれる。「こうした方がいいんじゃない?」とかまったくないので。そういう環境でやらせてもらっているので、これだけ自由に自分たちのやりたいものを突き詰められています。

内田:だから、よりいい曲を書かなきゃなという気持ちにもなりますし。めちゃめちゃ最強チームです。

―それはKroiが「俺たちはこういうバンドなんだ」ということをブラさずに示し続けてきて、自ら掴み取った立ち位置でもありますよね。それこそタイアップ先のクライアントもKroiのユニークさをそのままかっこよさとして受け入れていて、「カラオケで歌えるようなもの書いてくださいよ〜」とかズレたことを言ってこないわけでしょ。

千葉:たしかに。それができるのは、やりたいようにやることを貫いてきたから、というのがあるかもしれないですね。

関:幸い今お話いただいているクライアントさんも、自分たちのことを熟知した上でオファーしてくださっているので、「その自由なスタイルがほしいです」みたいに言ってくださることが多くて。タイアップ曲でもわりと好き放題やらせてもらって、それをよしとしてくださっているっていう。なので、すべてにおいて「ありがたい」の一言に尽きます(笑)。これをするのが正解のバンドとしてやらせてもらえているということがすごくありがたいです。

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