米軍によるUFO目撃件数、この1年で倍増した理由

2022年5月17日、米議会の公聴会でUAP(未確認空中現象)の映像をバックに話す米海軍情報局のスコット・ブレイ副局長(Photo by AP)

米下院情報委員会は現地時間17日、50年ぶりにUFOに関する公聴会を開いた。その結果、未確認飛行物体(UFO)・未確認空中現象(UAP)の目撃件数は、これまでの見解よりもはるかに多いことが判明した。昨年の報告件数143件から250件増の393件まで増えていることを明らかにし、件数は増加しているものの、地球外生命体が関与した可能性は低いとした。

【写真を見る】2015年に米国防総省が公開した「未確認飛行物体」

報告件数が増加した理由の1つには、以前なら誰も報告しなかったような事例が今は報告されるようになったからだ、と海軍情報局のスコット・ブレイ副局長は述べた。また軍がUAP目撃にまつわる偏見の排除に努めてきたことで、以前より報告しやすくなったというのもある。公共ラジオNPRによると、「現在海軍および空軍のパイロットには、UAP目撃の際、手元のファイルに報告する細かい手順が定められている」とブレイ副局長は付け加えた。

さらにブレイ副局長は目撃件数増加の理由として、センサーの改良やドローンの増加、それに風船などの「飛翔体」を挙げた。副局長が議員に提示した報告例にはこれまで機密扱いされてきた映像もあり、そこにはFA18戦闘機を追い抜いていくグレーの球状の物体が映っていた。



議員らは公聴会で、UAPは国家安全保障に脅威をもたらしうる存在とみなすべきだ、と警鐘を鳴らした。「あまりにも長い間、UAPに対する偏見がしかるべき諜報分析を妨げてきた」と、下院の対諜報・対テロ対策小委員会の議長を務めるアンドレ・カーソン議員(民主党、インディアナ州代表)は述べた。「パイロットは報告をしたがらないか、報告したとしても笑い者にされた。懐疑的な国家安全保障委員会を恐れた国防省は、こうした問題を押し入れの隅に押しやるか、または完全に隠蔽していた。現在はもっと多くのことが分かっている。UAPは説明がつく。確かにその通り。だが現実のものだ。きちんと調査する必要がある。UAPがもたらす脅威はいずれも食い止めなければならない」

国防省で諜報および安全保障を担当するロナルド・モルトリー次官は、情報源や調査手法、機密情報全般の保護と、問題の透明性のバランスを取る必要性を説明した。「我々が目指すべきは絶妙なバランスを取ることだ。そうすることで一般市民の信用を維持しつつ、兵士のサポートに必要不可欠な能力を保つことが可能となる」

ブレイ副局長も、UAPの情報公開は「ケース・バイ・ケースで慎重に検討しなくてはならない」と付け加え、軍としては「自分たちが何を目視し理解できるのか、どのように結論を導くのか、敵に筒抜けにはしたくない」と述べた。

下院は公聴会の後、非公式の機密会合を行った

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from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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