ジョニデ裁判で新たな証言 デップの浪費癖や偏執ぶり、気まぐれな言動が明らかに

エスカレートするデップの散在

演じる役が大きくなるのと並行して、デップの収入と散財も増大した。こう語ったのは、召喚状により証言録取を命じられた元ビジネスマネージャーのジョエル・マンデル氏だ。デップは専属スタッフの給料に年俸12万5000ドルから25万ドル、警備員には日給1万ドルを支払っていた、とマンデル氏。断薬と断酒のために雇ったデヴィッド・キッパー医師の診察料は月10万ドルだったそうだ。

それでも「しばらくすると、酒やクスリの問題が気まぐれな言動として現れていくのが分かりました」とマンデル氏は証言した。次第にデップと連絡を取ることも、収入が支出に追い付かない財政状況について率直な話し合いをすることも難しくなったそうだ。

マンデル氏の証言によれば、2015年秋になるころにはデップの財布も底をつき、数百万ドルにも及ぶ税金の滞納金を支払うことができなかった。南フランスに所有する家を売って滞納金の支払いに充てたらどうか、とマンデル氏が提案した。「2015年に財政状況の悪化を警告したのですが、快く受け止めてもらえませんでした」とマンデル氏。デップはマンデル氏の会社The Management Groupとの契約を打ち切り、詐欺と横領で同社を訴えたが、2018年に和解している(和解金の額面は非公開)。

デップが別の裁判で、同社が17年間自分の税金を申告しなかった、と宣誓下で証言したことをハードの弁護団から聞かされたマンデル氏は、信じられないといった口調で一切の不正行為を否定した。

同じ時期の2015年末、デップは当時エージェントを務めていたジェイコブス氏を尋ね、彼女の勤務先のUnited Talent Agencyから無条件で2000万ドルを工面してもらえないかと頼んだ。「借金として頼んできたわけではありませんでした」とジェイコブス氏は証言した。彼女の上司は断ったが、「デップが財政的に苦しかった時には」バンク・オブ・アメリカから500万ドルの融資を手配してやった。

それから間もなく、デップは同社との契約を解消した。身近な人々に疑念を抱いては袖にする、というデップのお決まりのパターンだ。1980年代に音楽業界で一旗揚げようと、デップとともに南フロリダから上京した友人のブルース・ウィトキン氏は、4年ほど前にデップから相手にされなくなったと証言した。2人はデップが不定期に行っていた音楽活動のバンド仲間で、デップに気に入られようとする取り巻き連中のなかでも、公私を共にする親友だった。

デップが元弁護士のジェイク・ブルーム氏を訴えた裁判で(2019年に和解)、ウィトキン氏がデップの麻薬使用について証言したのをデップは快く思わなかったようだ。「彼は、背後から刺された、といったおかしな携帯メールを私に送ってきました」と証言録取でウィトキン氏は語った。「それ以降、彼とはほとんど顔を合わせていません」

Translated by Akiko Kato

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