1D時代〜ソロデビューまで成功の軌跡を振り返ろう。1994年、イギリスの小さな町に生まれたハリーは、エルヴィス・プレスリーやプリンスに憧れるロック青年だった。16歳ごろ、腕試し感覚で参加した音楽オーディション番組『Xファクター』にて、ボーイバンド、ワン・ダイレクションを結成。そこからのスターダムは、日本でもおなじみだ。計5枚のアルバムは、7000万枚以上のセールスを築き上げている。
ソロ転向後のライブでも披露している「What Makes You Beautiful」。原曲のギターは共同プロデューサーのカール・フォークによるものバブルガムな音楽性と思われがちなワン・ダイレクションだが、米国市場においては「予想外のヒット」とされたギター使いのポップロックでもあった。ただ、それを留意しても、バンド休止後の2017年に放たれたソロデビューアルバム『Harry Styles』は衝撃的だった。きらびやかな「アイドル」的人気を誇ったにも関わらず、ポップトレンドから逸脱した古風な70年代風ソフトロックだったのだ。
『Harry Styles』の1stシングル「Sign of the Times」かのエルトン・ジョンからも「予想外の方向性」として称賛されたハリーは、早々に音楽的評価を確立した。同時に、彼が特異とされるのは、ボーイバンドの経歴を卑下せず、むしろ誇っている点だ。特にファンへの敬意は厚い。米ローリングストーン誌による
当時のインタビューで、年配リスナーを惹きつける「シリアスなミュージシャン」であると証明するプレッシャーについて問われた際、若年女性ファンを多く抱える立場として反論に出ている。
「人気の音楽を好む女の子が、ヒップ気取りな30代よりも趣味が悪いって言いたいの?」「ティーン女子のファンは嘘をつかない。自分が好きだったら応援するんだ。“クールに振舞おう“なんてしない。好きだったら好きと言う。それってシックなことだよ」