s-kenと高橋一(思い出野郎Aチーム)が語る、パンクを通過したダンスとレベルミュージック

ーs-kenさんは世界一周されたり、システムエンジニアをされたり、編集者をされたり、いろいろなことをされて、様々な立場や角度から物事を見たり体験されてらっしゃいますよね。そうした体験が楽曲につながっていっているのかなと感じました。

s-ken:いろいろなことを見てきたというよりも、現在進行系で、少し視点を変えたり、自分の興味以外のものに目をつけることによって、ローリングストーン、転がる石じゃないけど新しいものを吸収していく。ニール・ヤングが好きだった当時の20代が60、70になってもずっとそのままでいるような感じのことが、意外と日本では多いなと僕は思っちゃうんだよね。僕はそういう意味では正反対です。それと、話は飛びますが僕らホモサピエンスが農耕を始めたのは8000年ぐらい前で、その前の延々と長い期間、僕らは狩猟採集民だった。日常的に踊ったり走ったり歌ったりしていた。今分かっているのは、僕らの先祖ってアフリカ大陸から来ていて、遺伝子情報分析から最初大陸を脱出したのは300人くらいだったってこと。そんなグルーヴーな血を地球上だれでも受け継いでいるはず。だから世界中に踊りもいろいろある。日本だって阿波おどりとかあるでしょ。そんなDNAを解放しないと。

高橋一:起源までさかのぼれば同じところから始まった人々が世界中に広がって、それぞれの「ダンス」を発展させて来たということですよね。その一方で世界はどんどん分断されていくようにも感じてしまいます。パンデミックや戦争もあるし、今回s-kenさんとお話しさせてもらったなかで話題に出たように差別や様々な問題が横たわっている。この国にも根深い問題が沢山ある中で、先ほども話したように、僕はマジョリティー側である自分の特権性に無自覚でした。人種や属性を問わず「踊ること」を自由に共有したいからこそ、目の前にあるこういった多くのことに対して今一度向き合う必要があるとも思いました。そういったことも僕がダンスミュージックやパンクから影響を受けた部分だと思います。

s-ken:僕の音楽もほとんどダンスができる曲になっているのは、ホモサピエンスの血が騒いだと思っている。生涯音楽に夢中になっていることを突き詰めていくとアフロという言葉で総括できる。だから晩年なってやっぱりアフロパンク行き着いた。パンク方は僕なりの“知性”が行き着いたところ、アーバンでプリミティブといったところ。



ー7月20日にBillboard Live TOKYOで開催されるライブでは、マコイチさんも登場するんですよね。

高橋一:普通にバンドを組むときに影響を受けた人に呼んでもらって、震え上がりました。

s-ken:ゲストがたくさん出るので、嬉しいけど大変、80年代につくったアフロパンクタッチの曲で、スティーヴ・エトウが入ってダブルパーカションでよりアフロなグルーヴにして、そこに高橋君が入ってセッションする予定だし、EGO-WRAPPIN’森君は山谷からDJしに駆けつけてくれるし。

高橋一:すごいことですよね。

ーアフロパンクの話も出ましたけど、思い出野郎も踊るということを常々テーマにされているので、一緒にセッションすることによって、どんなライブになるのか期待です。

s-ken:これは僕の歴史の中で永久保存版で残したいライブになると思います。38年前に作ったホットボンボンズが今も全員現役で、各ジャンルでほとんど巨匠といえるミュージシャンになっていること自体ちょっと驚くべきことなんだけど、リズムセクションがとんでもないグルーヴに到達している。

ーすごく貴重な1日ですね。

高橋一:そうですよね。客としてお酒を飲んで観ていたかったという気持ちもあります(笑)。僕、s-kenさんのライブを最後観させてもらったのが2019年の「TOKYO SOY SOURCE」だったので。このメンツでこのライブが!というステージになると思います。

s-ken:今回すごく運がよくて、レコーディングする時にサポートしてくれた女性のミュージシャン、中山うり、エイミアンナブルナ、矢元美沙樹もすべてスケジュールが合って参加してくれることなった。女性コーラスをつけようっていうのは、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのアイ・スリーじゃないけど夢だったので、まさか実現するなんてね。

マコイチ:こんなすごいミュージシャンのなかで僕だけ浮いてないですか(笑)?

s-ken:そんなことないですよ。それも夢が実現した。すごいことになっちゃうライブになるでしょう!



<リリース情報>

s-ken & hot bomboms
アルバム『P.O.BOX 496』

発売日:2022年5月11日(水)
価格:2530円(税込)
=収録曲=
1.夜空にキスして天国を探せ
2. P.O. BOX 496 
3. 風の吹くままリバーサイド 
4. メロンとリンゴにバナナ
5. 野良犬が消えちまった 
6. 一匹狼カムバックホーム
7. Low & High
8. マジックマジック 

<ライブ情報>

「P.O. BOX 496 CONNECTION 2022」

2022年7月20日(水)Billboard Live TOKYO
時間:
1st OPEN 17:00 / START 18:00
2nd OPEN 20:00 / START 21:00
チケット発売:4月13日(水)〜(未就学児の入店不可)
料金:
自由席 7800円(税込/整理番号付/飲食別)
・S指定席 7800円+指定料金 1100円(1名)(税込/指定席/飲食別)
・R指定席 7800円(税込/指定席/飲食別)
・Duoシート 7800円+指定料金3300円(1名~2名)(税込/指定席/飲食別)
・DXシートカウンター 7800円+指定料金2200円(1名)(税込/指定席/飲食別)
・DXシートDuo 7800円+指定料金4400円(1名~2名)(税込/指定席/飲食別)
●カジュアルエリア(お一人様)7300円(税込/指定席/1ドリンク付)

お問い合わせ:03-3405-1133(ビルボードライブ東京)
http://www.billboard-live.com



s-kenオフィシャルページ:https://s-ken.asia/

Rolling Stone Japan 編集部

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