一日目のヘッドライナーとして車に乗り登場したPUNPEEの、作りこまれているが肩の力が抜けたエンタメショーは会場の空気をあたたかく包んでいた。どちらかというとストイックでダークな世界観のラッパーが多かった二日目と比較し、一日目の空気をユーモラスで対照的なものに作り上げたのはPUNPEEのキャラクター、それを“アリ”にするスキルの成せる業だったと思う。フリースタイルで「今日は声出せないけどヒップホップは元々声なき者のもの」と歌い、一方で「俺もYZERR君にもっと行けるって言われたい」とAwichのラインを引用しつつ下の世代を敬うスタンスも忘れない。同様の意味で、二日目のBIMもコミュニティの多彩な人物を振り向かせる強い求心力を見せていただろう。ギター・竹村郁哉(Yogee New Waves)、ベース・Shingo Suzuki(Oval)、ドラム・So Kanno(BREIMEN)、キーボード・TAIHEI(Suchmos)という豪華な面々をバックに、数々のヒットナンバーで沸かせた彼のステージはハートフルなものだった。
2020年代のいま、ゲームを司りながら頂点にいるラッパーたち。一日目、OZworldの安定感のあるステージは本当に素晴らしかったし、LEXとJP THE WAVYは次から次へとヒット曲を繰り出した。会場は総立ち、異常とも言える熱気に包まれたパフォーマンスは、次の瞬間からその興奮がSNSにポストされインターネット中を駆け巡る。「POP YOURS」では多くのラッパーがリリースされたばかりの曲/近々リリースする曲をお披露目したが、LEXの「大金持ちのあなたと貧乏な私」とJP THE WAVYの「Mango Loco」は、新曲でありながらも皆がリリックを歌えており、現在の二人の人気を物語っているように感じた。彼らによる「なんでも言っちゃって」、さらにOZworldも含めた豪華マイクリレー曲となった「WAVEBODY」は、一日目のハイライト。JP THE WABYは頂上からこう語る。「SALUが俺を引っ張ってくれて俺がLEXを引っ張った。できれば3人でセッションしたかった」。