ノラ・ジョーンズ独占取材 デビュー20周年、今こそ明かす『Come Away with Me』制作秘話

ノラ・ジョーンズ

 
「デビュー20周年となる2022年の活動について、現段階で言えることがあれば教えてください」。初のクリスマス・アルバム『I Dream Of Christmas』を昨年リリースするにあたってインタビューしたとき、ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)はこの質問にこう答えた。「いままでリリースしてなかったエキストラの楽曲がたくさんあるので、それらを出していく予定なの。振り返って聴いてみると、けっこうよかったりするから」。

それを形にしたのが、5月27日に日本盤リリースされた『Come Away with Me』(邦題:ノラ・ジョーンズ)スーパー・デラックス・エディションで、1stアルバムの最新リマスターに貴重なデモや幻のセッション・テイクなど実に22曲もの未発表音源を加えたCD3枚組だ。

当時マスタリングを担当したテッド・ジェンセン自身がリマスタリングしたDISC1=『Come Away with Me』20周年記念リマスターの音のよさも素晴らしいが、驚きながら惹きつけられるのは、ブルーノートとの契約のきっかけになった最初期の音源や、ジェシー・ハリスを含む当時のバンドとの初セッション時のアウトテイクを収めたDISC2、そしてクレイグ・ストリート(カサンドラ・ウィルソン、ミシェル・ンデゲオチェロ、リズ・ライトほか)をプロデューサーに迎えて録音されたものの、3曲を除いて世に出なかった音源をバランス調整してまとめたDISC3だ。『Come Away with Me』収録曲のバージョン違いもあるが、初めて聴くことのできる完全なる未発表オリジナル曲もあり、そのクオリティの高さに圧倒される。

5年ぶりとなる10月の来日公演も先頃発表されたノラ・ジョーンズに、Zoomで話を聞くことができた。前回に続き、今回もRolling Stone Japan独占インタビュー。20周年を迎えたノラの現在の思いを感じていただきたい。



―まずは、デビュー20周年、おめでとうございます。今どんな気持ちですか?

ノラ:とてもいい気分。20年の時間の経過は、ゆっくりでもあったし、早くもあった。あっという間の気もするし、100年ぐらい経ったんじゃないかと思うときもある。

―20年活動してきたなかで、特に嬉しかったこと、なんて幸せなんだろうと感じた出来事は?

ノラ:ずっと音楽を演奏し続けてこれたことに、一番の幸せを感じる。いろんなミュージシャンと演奏したり、ライブをしたり。楽しい音楽をたくさん演奏した。そのことに尽きるわ。

―では、あれは辛かった、苦しかったと感じたことは?

ノラ:う~ん、どうだろう……。奇妙に感じたことは、デビューアルバムの大成功かしら。辛かったとか苦しかったということではなく、とにかく強烈な体験をしたという意味でだけど。

―デビューしてすぐにアルバムが爆発的なヒットとなり、翌年のグラミー賞では主要4部門を含むノミネート8部門を全て獲得。その直後にインタビューした際には、「このクレイジーな状況が早く収まってほしい」と言ってましたもんね。

ノラ:そうそう。大変だったし、混乱もしていたし、自分の進むべき方向性を一瞬見失いそうにもなった。でも、あれほど多くの人に受け入れられたのは素晴らしいことだと思ったし、信じられない気持ちもあった。そういう感情の全てがいっぺんに来た感じだったの。そんななかで2ndアルバムを作るのもけっこう大変だったけど、でもそうした経験を経たことで、余計なプレッシャーを感じることなく、常に音楽に集中してさえいれば大丈夫なんだってわかったわ。

Translated by Hitomi Watase

 
 
 
 

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