政治家に転身したインドの人気ラッパー、銃撃され28歳で死去

2021年9月12日、英ロンドンのクリスタルパレスで行われたWireless Festivalに出演中のシドゥ・ムース・ワラ。(Photo by Burak Cingi/Redferns)

4年足らずでYouTubeの閲覧回数40億回以上を突破し、のちに政治家に転身したインド人ラッパーのシドゥ・ムース・ワラ(本名:シャブディープ・シン)が現地時間29日、インドの自宅付近を運転中に銃で撃たれて死亡した。享年28歳だった。

【写真】27歳で他界した「27クラブ」のスター20人

シドゥはインドのパンジャブ州マンサ地区をドライブ中、犯行グループから発砲された。ソーシャルメディアに投稿された事件現場の生々しい動画や写真には、通行人が脈拍を調べる中、黒のSUVの運転席に血まみれで横たわる彼の遺体が映っている。

ローリングストーン誌が検証した事件後の映像には、インド版ジープ車マヒンドラ・タールの車体に約14発の銃弾の跡が見受けられた。パンジャブ警察署のVKバウラ署長によれば、射撃犯は30発以上を発砲したという。

署長は少なくとも3丁の武器から発砲されたとも付け加え、シドゥのマネージャーとカナダ人ギャング団との抗争が原因だとした。

地元紙ヒンドゥスタン・タイムズ紙は警察官の発言として、シドゥは8発被弾したと報道した。また攻撃の際、同じ車に同乗していたうちの1人が、けがを負って死亡したとも伝えている。

シドゥは2017年に最初の曲をリリースするや、またたくまにインド国外でブレイクし、インドが世界に誇る希代のアーティストとなった。またアメリカでも同世代の人気アーティストと肩を並べるアジア人ラッパーとして不動の地位を築いた。

「インドには、真の現代アーティストはごくわずかしかいない。彼はその中でもトップだった」。インドのミュージシャン仲間であるヴィシャル・ダッドラニはこうツィートした。「彼はレジェンドだ。彼の声、勇気、言葉は永遠に語り継がれるだろう」

パンジャビ音楽のサンプリングをちりばめた激しいトラップとドリルのビートをバックに、シドゥは伸び伸びとした豊かな声で、銃撃戦やギャング、サクセスストーリーをラップした。

2020年には英ガーディアン紙から最優秀新人アーティストの1人にも選出。同じ年にラッパー仲間のドレイクの目に留まったらしく、Instagramでフォローされていた(事件後、ドレイクもInstagramのストーリーで亡きラッパーを悼んだ)。




Translated by Akiko Kato

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