オリヴィア、パラモア、アヴリルらの系譜で見る「ポップパンク」の影響力

オリヴィア・ロドリゴ(Photo by Samuel Gehrke)

「23歳の時のお前なんて、誰も好きじゃなかった」と、かつてblink-182は「What’s My Age Again」で歌った。1999年の夏のことだ。そして今、ポップパンクのカルチャーは時間をかけて成熟し、今また新しいアプローチで影響力を高めている。blinkの曲が象徴するように、年齢的には大人なのに精神的には子どものままでいる「未熟さ」がポップパンクの魅力の一つだった。

【動画】全裸で街の中を駆け回る「What’s My Age Again」のミュージックビデオ

しかしアヴリル・ラヴィーンがこのシーンの女王として復活したり、トラヴィス・バーカーがアメリカを代表するドラマーの座についたりと、この音楽の奇妙なレガシーを予想できた者は誰もいなかっただろう。オリヴィア・ロドリゴは初のツアーでアヴリルの「Complicated」をカバーした――まさに、タスキをつないだ形だ。



ポップパンクは進化を遂げ、音楽用語として当たり前に使われるようになった。とくに女性のリスナーやパフォーマーは、ポップパンクこそが自分たちを表現するジャンルだと主張している。「若いころの夢はどこへ行った?」という不朽の問いを、これほど完璧にがなり立てるポップジャンルは他にない。パラモアは一世代を魅了した。ウィローはトラヴィスやアヴリルと組んで、10代の怒りを吐き出した。オリヴィアの「good 4 u」はたちまち歌い継がれるNo.1ヒット曲となった。ソシオパス的な怒りのほとばしりは、パラモアやX-Ray Spex、バズコックスやFastbacksの作品だと言っても通じるほどだ。パンクロックで育った全米の母親は、パンクロックのレジェンドが勢ぞろいする今秋のWhen We Were Youngフェスティバルに向けてクローゼットを物色中――数年前にはこんなフェスティバルが開催されるなど考えも及ばなかっただろう。







マシン・ガン・ケリーがまさにいい例だ。彼は「本物」のポップパンクか否かという議論を呼んだが、以前だったらばからしく思えたかもしれない――このジャンルに純粋主義者が出てくるなんて、誰が思っただろう? だが、賛否両論もこのジャンルの魅力のひとつだ。「ロックスターの時代は終わったという記事を読んだ」と、マシン・ガン・ケリーはアメリカン・ミュージック・アワードで発言した。「でも俺にはピンピンしてるように見えるけどね!」



系譜をたどるとラモーンズにまでさかのぼる。彼らは1970年代、汗臭い麻薬まみれのCBGB全盛期に「1-2-3-4!」と叫んでパンクロックを定義した。だが忘れてはならないが、そもそも彼らが影響を受けたのはバブルガム・ティーンポップ、1970年代に頂点を極めたボーイ・バンド、ベイ・シティ・ローラーズだった。ラモーンズが「Blitzkrieg Bop」を書いた時にお手本にしたのも、世界中の若者に「S-A-T-U-R!D-A-Y!Night!」と連呼させたローラーズだった。そして2007年、アヴリル・ラヴィーンの初No.1ヒット曲「Girlfriend」も、ラモーンズの名曲「I Wanna Be Your Boyfriend」を意識して書いた作品だった。








Translated by Akiko Kato

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