moonridersが持つ徹底的な民主主義性、鈴木慶一らと新アルバムを全曲語る



田家:さて、そういうアルバムがどんなふうに着地をするんだ! この曲です。12曲目「私は愚民」、詞曲が慶一さんです。

鈴木:これは実は、このアルバムの中では古い曲なんです。すごい昔じゃなくて2020年にデモテープを集めようってなったとき、最初からあって。1分だけで、サビとかはなかった。それにどんどんサビをつけていって、それでも足りなくて最後のインプロビゼーションに突入(笑)。

田家:で、入口というのは「愚民」という言葉だったんですか?

鈴木:うん。奇しくも1曲目は愚か者、あちこちに愚かがたくさんあるような。

田家:下から目線ということなんだろうなと思ったりしましたけどね。

鈴木:下から目線ですよー。下からしか見れませんわ。上から見るというのは滅多にない。だから、仲良くできる。私はこの2人に上から目線で何か言ったことはないです。

澤部:本当にないですね。

佐藤:本当にそうですね。

田家:1951年生まれと1987年生まれと1989年生まれ。

鈴木:みんな一緒! 音楽はいろいろな意見を言えるじゃない? 好きになったり、嫌いになったり、嫌いになったものが好きになったりするんです。そういう話ができるのが同じ平たいところにいる感じでやれる。

田家:この曲は4分以降がセッションになります。

鈴木:ああいう「monorail」のようなもので始まり、インプロで終わるのは偶然なんですもんね。でも、それもよかったな。

田家:今、曲が流れているときに澤部さんが慶一さんにお訊きになっていたことがありましたね。

澤部:この曲メロトロンがあって、すごい好きで。クレジットだとキーボードでまとまっていて、岡田さんが弾いたのか、慶一さんが弾いたのかが分からなくて。

鈴木:私が弾いて、メロトロンのフルートってのは発明された音だよね。所謂疑似フルートではない。

佐藤:メロトロンっていう楽器ですよね。

田家:それは何を求めてそこまでいくっていうことなんでしょうね。

鈴木:「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」のイントロとかああいうのがやりたいのと、どうしてもあの音色の幻惑的なところ、魅惑的なところに相当惹かれるね。人によって好きな音色たぶん違うでしょ。あのフルートの音が好きな人は友達になれる。

佐藤:ミュージシャンは好きだなー。

田家:ここまで自分たちの趣味に徹して、趣味をとことんやろうとしているバンドってないでしょ?

鈴木:いい歳してね(笑)。

田家:史上最強・実力派趣味趣味バンドっていう感じが(笑)。

鈴木:みなさん70歳前後ですけど、あと3~4枚作りたいですね。

田家:いいですねー! お2人にとってはこのアルバムはどういうアルバムになると?

佐藤:今の音楽って社会の話とかそういうところは目をつむって、現実逃避じゃないですけどちょっとロマンチックなことを歌うことが多いじゃないですか。今の時代、それでいいのかなと。

鈴木:「元気を出そうよ、守ってあげるよ」なんてくそくらえだからね(笑)。

田家:っていうアルバムです。でも、愚民は強いぞっていうアルバムにもなります(笑)。来週から、キャリア、ヒストリーを辿り直してみようと思うのですが。

鈴木:分かりました。2人はいなくなっちゃうんですよね。

澤部:スケジュールさえ合えば来ます(笑)。

鈴木:この3人でしゃべってると、居酒屋の奥で音楽の話をしているような感じ。

田家:じゃあ、どうなるかもお楽しみにしていただいて、今週はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました!

鈴木:どうも!

澤部:ありがとうございました!

佐藤:ありがとうございました!


アルバム『It’s The moooonriders』ジャケット写真

Rolling Stone Japan 編集部

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