moonriders特集、鈴木慶一の自薦22曲と共にデビューから現在まで46年の歴史を語る



田家:シナ海からイスタンブールでハバロフスクって、そういう流れですね(笑)。

鈴木:まさに無国籍ですねー。これは詞曲がかしぶちくんです。ボーカルは武川くじら雅寛です。当時からボーカリストをどんどん変えていたんです。とあるときに鈴木慶一っていう人が全曲を歌った方がいいというのもありましたけども、見え方として分かりやすいのではないかと。私はそれに対してどうも不安と反感を持っていたので。

田家:かしぶちさんが詞曲を持ってこられたときには誰が歌うかってことをご自分では言わないんですか?

鈴木:決まってないです。本当は自分で歌いたかったでしょう。しかしこの曲に合うのは武川の低い声だよということでこうなった。

田家:それは慶一さんがお決めになった?

鈴木:うん、言ったと思います。余裕綽々でかしぶちくんは受け入れた。そして、シンセサイザーを大量に導入しておりますね。要するにこの曲の持っているロシア民謡、スカンジナビアのギターインストバンドのような感じ。この感じはかしぶちくんじゃないと書けないですね。

田家:まあ、1977年にはですね。

鈴木:ギタリストが変わるんだ! 白井良明が加入。

田家:はい。1977年にアルバム『moonriders』が出て、『イスタンブール・マンボ』と2枚出るわけですが、その間に良明さんがギタリストになって。

鈴木:白井良明はジャズから始めて、シタールも弾くという不思議な人で。所謂速弾きができる。当然ながらそれによってサウンドがガラッと変わりましたね。

田家:みなさんが慶一さんの家で練習していたというのもどこかにありましたけども。

鈴木:それは『火の玉ボーイ』の録音をするときに、私の家の2階でアレンジをするんです。それは白井が入る前ですね。やっぱり人がはみ出ちゃうんですよ。岡田くんはアコーディオンを屋根の上で弾いてた(笑)。屋根の上のアコーディオン弾き。

田家:慶一さんが選ばれた4曲目です。1978年12月発売のアルバム『ヌーベル・バーグ』から「いとこ同士」。

Rolling Stone Japan 編集部

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