月面讃歌 / moonriders
田家:1998年のアルバムのタイトル曲で、アルバムの中で唯一の歌詞なし。
鈴木:歌詞も作ろうとしたんですよ。ただ、作っても意味ないんじゃないかなって、ラウンジミュージック的なサウンドに歌詞は乗せないでインストゥルメンタルの方がいい、コーラスだけの方がいい。コーラスを録音するときにもっと人数がほしい。これをトッド・ラングレン手法と言いますけどね、ライブハウスでマイクを立てて、お客さんに歌ってもらうんですよ。テンポはスタジオで録ったテンポで歌ってもらったのを録音し、「もう1回歌って下さい」って3回くらいダビングしたのをはめ込むと。高砂族のみなさんのコーラスを、台湾で録音したのと同じ方法です。ギターを小さく弾いてピッチを取ってもらう。
田家:このアルバムは唯一いろいろな人たちにアレンジを丸投げしている。
鈴木:丸投げというのは本当に画期的でもあり、さすがにメンバーから苦情満載でしたよ。
澤部:えー!
鈴木:レコード会社のディレクター、ハリー吉田さんと私と2人で会談しているときに、こういうアイデアはどうだろうっていうのが出たんです。だから、他のメンバーは知らない。それでこの人に頼もう、あの人に頼もう、しかもマルチテープを渡してボーカルのトラックだけは活かしてください。1番2番3番の順番は変えないで、あとは何してもいいですと。だから、メジャーの曲がマイナーになったりしました。
田家:えー! それはメンバーびっくりするでしょうね。
鈴木:うん、せっかく録音したのにね(笑)。
一同:(笑)。
田家:佐藤さんが初めてお聴きになったアルバムは、そういうアルバムです。
佐藤:特殊な入り方をしたんですけど、6人全員が曲を作っていて、それぞれすごい個性があって。プロデューサーに任せてはいるんですけど、さっきも言ったようなライダーズでしか言えない複数の世界があって。子どもの頃に他のもいろいろ聴いてみたいって思うようなアルバムでしたね。
鈴木:最初にリミックス作っちゃったってことなんですよ。
田家:そういう意味ではこのアルバム「月面讃歌」はある意味でのmoonriders讃歌だなとも思ったりしました。
鈴木:その後、オリジナルの我々だけで録ったdis-coveredを出しますけどね。そしたらみなさん納得してくれました(笑)。
田家:で、キューンソニーはこれ1枚で、1991年ワーナーに移籍するわけですね。17曲目、2001年12月発売のアルバム『Dire Morons TRIBUNE』から「Morons Land」。