フォールズが語る「踊れるロック」の成熟と原点回帰、フジロックとUK最高峰のライブ

フォールズ(Photo by Alex Knowles)

 
フォールズ(Foals)が最新アルバム『Life Is Yours』をリリース。今夏のフジロックフェスティバル出演も決まっている彼らの新境地とは? 今年5月のロンドン公演を目撃したライター・佐藤優太に解説してもらった。

※本稿におけるジミー・スミスの発言は、出典に関する記載がない限り、全て筆者が行った公式インタビューからの引用。


始まりはパンデミックの中で

「このアルバムの最初のインスピレーションは、自分たちの周りで起こっていることから逃れたいという気持ちから来たんだと思う」(ジミー・スミス)

フォールズの7枚目の新作アルバム『Life Is Yours』が、彼らのディスコグラフィーの中でも最もポップでダンス色の強いアルバムに仕上がった理由について、スミスはこのように答える。「自分たちの周りで起こっていること」とは、もちろんコロナ禍とロックダウンのことだ。


『Life Is Yours』のリード曲「2001」の日本語字幕MV


1分でわかるフォールズの解説動画

振り返ると、フォールズは2019年11月にリリースしたアルバム『Everything Not Saved Will Be Lost Part 2』で、バンド初の全英1位を獲得。また、2020年2月には、BRIT Awardsの「最優秀ブリティッシュ・グループ賞」を受賞した。同年3月には来日公演が予定され、その後の4月からは凱旋的なUKツアーがスタートする予定だった。

だが、2月末にアウトブレイクに至ったCovid-19のパンデミックが全てを変えた。予定されていたツアーは全て中止や延期を余儀なくされ、UKツアーに至っては最終的に3度もの延期調整が行われた。実質的な2枚組アルバムだった『Everything Not Saved Will Be Lost』を振り返るとき、スミスは作品を完成させられたことは誇りに思うとしながらも「Part 2がスポットライトを十分に浴びなかったのは残念」ともこぼす。

『Life Is Yours』の制作は、そんな中で始まった。通例で考えれば“失意の中からの再スタート”といった言い回しさえできそうな状況だが、ロックダウンで活動の大部分が制限されていた当時ばかりは、バンドとして新しい音楽を作れる喜びの方が上回っていたようだ。「2020年の冬、パンデミックの猛威でロンドンがとても殺伐とする中、毎日一緒に音楽を作ることから僕らは大きな安らぎを得ていたんだ。そこで僕らの中から生まれてくる音楽にはとても高揚感があって、僕ら自身のセラピーになり始めていたから(略)それを続けていこうと決めたんだ。」(スミス)

 
 
 
 

RECOMMENDEDおすすめの記事


 

RELATED関連する記事

 

MOST VIEWED人気の記事

 

Current ISSUE