小田和正、最新作『early summer 2022』を評論家・小貫信昭と語る



田家:ツアーはたいていの方がこれからご覧になるわけですからね。先日、土曜、日曜と初日が行われました。アルバム3曲目「小さな風景」。この曲もテレビ朝日系の連続ドラマ『遺留捜査』の主題歌でした。

小貫:「小さな風景」ってどういうことなんだろうなと思いながら聴いてました。

田家:どういうことなんだろうと思われたんですか。

小貫:心象風景、なんでそれを小さく感じたんだろうなみたいな。聴き手にいろいろな想像をさせる曲だと思いますけどね。

田家:小貫さんはずっとライブをご覧になっていて、小さいライブはどんなライブがあるんですか? 「クリスマスの約束」はその中で小さい部類に入るのかもしれないですけど

小貫:何年か前、アジアツアーに行く前かな、ライブハウスでの壮行ライブみたいな。そういうのでは観てますけどね、小さいライブって。

田家:そういうところでのライブと東京ドーム、横浜アリーナ、大会場でやるライブと違うところは感じますか?

小貫:小田さんのコンサートスタイルって遠くのお客さんに対応するために、花道はできてきたものだと思うので。

田家:歌う場所が8箇所ぐらいあるという。

小貫:ええ。隅々までみんなが笑顔で楽しく笑っている姿を小田さん自身も近くで確認したいというのもあるんじゃないですかね。広いところでやったからと言って、かつて狭いところでやっていた気持ちを決して忘れたわけではないんだと、体を張ってちゃんと証明しているということなんじゃないんですかね。

田家:曲を聴きながらファンクラブの会報誌をずっとご覧になっていましたが。

小貫:ええ、自分が書いたところを。小田さんはこの「小さな風景」をリリースした頃にできるだけ言葉数を少なくと始めから考えて、短く印象的な歌にしたかったと。小田さんはレトリックで詞をあまり書かないので、まるで何々の5月の空のようにとか書かないから、言葉数は本当に少なくて無駄のない詞が多いですよね。

田家:どんどんそうなっている感じがありますね。

小貫:そうですね。さすが「言葉にできない」の作者だなって感じがします(笑)。

Rolling Stone Japan 編集部

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