小田和正、最新作『early summer 2022』を評論家・小貫信昭と語る



田家:流れているのは4曲目「この道」をです。

小貫:もっとフローなバージョンも試したけど、この感じになったって書いてますね(笑)。でもバラードって難しいじゃないですか。歌詞はすごくエッジの効いた言葉を混ぜて書いている気がしますけど。

田家:流れている「この道を」の中で〈誇りと正義のために戦う自分がいるはず〉って、これが小田さんの一面だなと思ったりもしたんです。

小貫:そうですね。会報に書いてあるところによるとですね(笑)。

田家:はいはい、ご自分でお書きになった文(笑)。

小貫:さすがに普段から、俺は誇りと正義のために日々戦っているんだと言うと、言葉が強すぎるので。この言葉が出てきたのは『ブラックペアン』というドラマが大学病院の不正と戦う主人公というストーリーなので、このへんはドラマに寄せた結果、こういう強い言葉になっているんじゃないかと、会報に私が書いております(笑)。

田家:TBS系日曜劇場のドラマ『ブラックペアン』の主題歌ですね。なかなかそういう言葉は歌いにくいけれども、そういう気持ちで生きてきた人なんだろうなと思ったりもしますね。それが小田和正なんだって思い始めたのはどのへんからでした? 最初からそういう人だと思っていました?

小貫:それはオフ・コースのときからそうだったと思いますけど、オフ・コースバンドなので他のメンバーもいらっしゃいますし、バンドの一員として喋っていたのが、ソロになってからは自分のことですからね。

田家:気恥ずかしくなるようなことを聞いてしまうんですけど、求道者という言葉は小田さんに当てはまると思います?

小貫:ストイックな感じとは違うんじゃないですかね。求道者って周りを放っておけないという感じよりも自分が率先して、ときには手本を示したりする人だと思うんです。でも「この道を」ってすごい好きですね。歌詞細かいところ、晴れ渡るからカメラがパンするみたいにわーっと。

田家:一言で景色が変わるみたいなね。

小貫:あの瞬間の心地よさ、ゾワゾワする感じとか。

田家:小貫さんの中での好きな小田さんという感じなんですかね。

Rolling Stone Japan 編集部

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