小田和正、最新作『early summer 2022』を評論家・小貫信昭と語る



田家:アルバムの6曲目ですね「ナカマ」。テレビ東京系の『ガイアの夜明け』主題歌で、これは6月3日から放送されているということで、ホヤホヤの新曲です。

小貫:番組がプロジェクトを組んで、新たなことに挑戦していく人のドキュメンタリー的なものなので、小田さんがこの曲に関してコメントを出してらっしゃったのは、団体戦でやることの大切さとか、自分自身もコンサートをやるときに多くのスタッフとの団体戦なんでというようなことをコメントされています。だから、番組にはシンパシーを感じて書いた曲なんじゃないんですかね。

田家:団体戦ということで言うと、映画監督というのもまさに団体戦のリーダーなわけでしょ。

小貫:そうでしょうね。

田家:映画を作っているときに現場に行かれたりもしたんですか?

小貫:1回ちらっと覗きましたけど、映画の世界は何をどうやっているんだか分からないなと。

田家:やっぱりね。そういう世界に入っているわけですから、当然音楽のときとは違うハードルがあったりしたんでしょうからね。

小貫:そうですね。例えば、「通行人の役がどういう時計をはめているんですか? というところまで小道具の人が監督に確認しに来るから大変なんだよ」って言っていたのを思い出しました。監督っていうのはどういうものなのか、やってみると分かる。

田家:リーダーシップがとてもある人なんだと。

小貫:人に命令するのではなくて、率先して自分が手本を示すリーダー像なんじゃないかなと思うんですけどね。

田家:日本のそういう音楽シーンの中の1つの手本になってやろうみたいな気はあるから、『クリスマスの約束』みたいな番組も続くんでしょうしね。

小貫:やっぱり音楽を丁寧に作ると時間がかかるし、それをテレビ番組でやるのは、ほぼ不可能だと思うんですけど、あの番組は有名アーティストがものすごい時間のリハーサルをやっているから、全体が素晴らしい表現になるわけです。曲調は全然違うんですけど、「フラッグ」って曲があるじゃないですか。「フラッグパート2」的な歌詞の内容はそんな感じがするんです。

田家:アルバムは全9曲入りで、今日は7曲お聴きいただいたわけで、7曲目の「こんど、君と」と9曲目の「会いに行く」は来週になるのですが、この2曲についてはどんなふうに?

小貫:ツアータイトルとも関わっている、やっとみんなと会えるというか、いつかではなくて今度になっているところがすごく重要だと思います。

田家:「こんど、君と」と「会いに行く」は両方ともツアーに関わっていると。あらためてこのアルバムの小田さん。冒頭で最後のアルバムになるかもしれない考え方もあるというふうに言われていました。

小貫:まあ、アルバムにこだわらないということだと思うんですけどね。かつての12曲入りアルバムを作るってことだけが作品集じゃないという、もっと柔らかい考え方に。曲はこれからもずっと作り続けていかれると思うんですけど。思うというか、そうだと思うんです。それがどのようにまとまってみんなのもとに届くかというのは、そのときのタイミングとか、様々あると思います。

田家:今回のツアーについてはどんなツアーになればいいなと、どんなふうに期待しています?

小貫:ツアーは最後まで完走することが大事だと思うので、マラソンと一緒なんじゃないですか。

田家:ツアーの完走を祈りながら終わりましょうか。ありがとうございました。

小貫:ありがとうございました!


アルバム『early summer 2022』ジャケット写真

Rolling Stone Japan 編集部

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