Saucy Dog、3人で辿り着いた初の大阪城ホール公演

ここで、「楽しんでいただけてますでしょうか? ここからはスペシャルバージョンのSaucy Dogをお届けしたいと思います。スーパーピアニスト、ムラジュン~!」という石原のコールにより、せり出しからグランドピアノと共に村山☆潤が登場。人気YouTubeチャンネル”THE FIRST TAKE”でも共演した頼もしいサポートメンバーと送る『魔法にかけられて』では、楽曲の持つドラマをピアノが彩り増幅。そのままワンマンライブでは恒例のアコースティックコーナーへと続く。

『煙草とコーヒー』では、せとがメインボーカルを取り、満場の手拍子と温かなムードを作り上げていく。MCでは、せとが昨年2月の初の日本武道館公演についても振り返り、コロナ禍に翻弄された日々を乗り越えての、フルキャパでのソールドアウトに感謝を述べる。続けて、「感慨深いですね。ライブ中にちょっと泣きそうでした」と言う秋澤和貴(Ba)に、「早ない? その話(笑)」と返す石原のやりとりもほほ笑ましい。『いつもの帰り道』では、ここ2年の紆余曲折の感情を、せとの優しい歌声が包み込んでいく。そして、『結』ではストリングスを迎え、切なきミドルナンバーを最高の編成で披露。『ノンフィクション』では一転、カルテットの旋律が疾走感とスリルを加速させていく。



後半は再びスリーピースで、せとの強烈なドラミングがいざなう『リスポーン』から幕開け。『雷に打たれて』では、秋澤のワイルドなベースラインからいざ突入かと思いきや、石原の機材トラブルでギターの音が鳴らず思いがけず長尺のイントロに。だが、ハプニングにも動じることのないどっしりとしたパフォーマンスで逆に見せ場を作り、極彩色のライティングが高揚感を演出。そして、噴き出す炎のさなか「ライブってハプニングがあるから楽しくない?(笑)」と石原が言ってのけ、『ゴーストバスター』へ! みずみずしいバンドサウンドを構築する音響、ド派手な光でライブにエモーションを加える照明と、チームの総合力をまざまざと感じるシーンだ。

その後も石原が、”こんな時代だからこそ、こんな世界だからこそ、あなたに届けたい歌”と訴えた新曲『優しさに溢れた世界で』、”会場にいるみんなと僕らも一緒に並んで歩いていくことはできるんじゃないかな”と届けた『バンドワゴンに乗って』と、Saucy Dogの世界観を端的に表したような思いもろとも畳み掛ける。

「大阪でライブがあると、やっぱり帰ってきた感が変わらずにありますね。ここに来てくれてるみんなもそうだし、陰ながら支えてくれてる人たちがたくさんいて……このツアーを通して、改めてそれを実感してます。こうやって多くの人を巻き込んで、音楽を作って、ライブができるのは当たり前じゃないなって。大阪城ホールは僕にとって思い出深い場所で、今日はチラシをくれる人とか、物販でグッズを売ってくれる人とか、柵を押さえてくれる人がいたでしょ? 僕も昔はそういうバイトをしていて。当時のバイト仲間から昨日、「マジ感慨深いわ」って連絡が来ました。そうやって、ようやくここに立つことができてるのも、みんなのおかげだと思ってます。Saucy Dogの音楽が少しでも長く、みんなの心の中で生きていけたら……この曲を聴いて、意外と僕たち、私たちに近いんじゃないか、自分一人じゃないんだなと思ってもらえたらうれしいです。最後は笑っていこうね!」

そんな石原の願いを込めた『猫の背』では、自分の歌がみんなの歌になる運命の巡り合わせをかみ締め、本編は終了。

Rolling Stone Japan 編集部

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