堀込高樹が語る「一歩踏み出す勇気」 KIRINJIの新しい季節と素敵な予感

 
「素敵な予感」に込めたもの

—「Rainy Runway」の歌詞でいうと、サビのフレーズがいいですよね。“遊歩道はランウェイ/誰もがきっと思わず二度見”のくだりはミュージカル的というか。

堀込:そうそう。フレッド・アステアとか『シェルブールの雨傘』みたいな。別に『ラ・ラ・ランド』でもいいんですけど(笑)。ミュージカルって傘を小道具としてよく使うじゃないですか。あとは、大通りをお洒落して歩いていく光景をイメージしました。

—“きらめく街並み/新しい服と靴に似合うヘアカラーためそう”という一節もそうですよね。性別を特定させないという点も含めて、素敵な表現だと思います。

堀込:あそこは“ヘアスタイル”だとつまらない気がして、もっと思いきった感じにしようと。「青くしてみました!」みたいな。僕は一度も染めたことないんですけど(笑)。

—言われてみれば、高樹さんの茶髪とか見たことないです。

堀込:僕こそやったほうがいいのかもしれないですね(笑)。「どうしたの?」ってなりそうですけど。

—ファンは確実に大喜びですよ。“新しいヘアカラーためそう”、「メガネを語る」以上の特集になりそうです。

堀込:メガネ……“新しいフレームためそう”。

—(笑)。

堀込:よっぽどのフレームにしないと、「お!」って思ってもらえないでしょうね。


Photo by Rika Tomomatsu

—歌詞に話を戻すと、最後に”素敵な予感しかない!”と言いきってるところが、Twitterで特に人気みたいです。

堀込:「がんばろう!」だと押し付けがましい感じがするし、確信を持っているのも変な気がするんですよね。「楽しい気分になってきたかな?」くらいの感じにしたくて、”素敵な予感がする”だとそのままだから否定形にしてみました。「○○しか勝たん」は「オジサンどうしたの?」ってなるかもしれないけど(笑)、「○○しかない」は普通に使うから、これだったら自然かなと。

—「再会」もそうでしたが、最近のKIRINJIはポジティブな言葉が目立つ気がします。

堀込:今は刺々しいものが世の中に溢れていますよね。昔は極端なものやエグいものが表現の中にあって、みんな温厚に生きてた気がするんですけど、誰もが刺々しいものを隠さなくなってしまったから。ネットのコメントとかも酷いじゃないですか。だから、自分の歌でわざわざそういう表現をするのはやめようと。あとは曲調が穏やかというか、スッと馴染むものがいいと思うんですよ。


Photo by Rika Tomomatsu

—「Rainy Runway」は高樹さんがいつも以上に歌いやすそうで、それも風通しのよさにつながっているのかなと。

堀込:レンジを少し下げたんですよね。自分ではやや高めのほうが声がよく出ると思っていましたが、低くしたほうがライブで歌うのも楽ですし(笑)、キーもいつもより下げています。ただ、サビの一番上がるところは割と高めなので、そこを気持ちよく出すために、導入の部分は低くなったという感じですね。

—歌声にもドラマチックな起伏があるように感じました。

堀込:そうですね。1番と2番のサビで歌い方を変えたりもしていて。割と何回も歌ってみながら、歌詞とかサウンドの変化だけではなく、それに伴って歌の表情も変わっていくような成り立ちにしようと意識しました。

 
 
 
 

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