マハラージャンが語る、歌の中の世界を豊かにするための方法

ーそういう意味でいうと、「先に言って欲しかった」はロック色の強い楽曲です。ヴァインズとか、2000年頭のガレージリバイバルあたりのサウンドが思い浮かんだんですけど、リファレンスにしたり、イメージしたものってあるんですか?

まさにおっしゃる通りで、ホワイト・ストライプスだったり、若干のグランジ系、ニルヴァーナだったりは意識しています。やっていく中でちょっとオフスプリングっぽくなっていったりもしました。ただ、再現しようとしても完全にそうはならないので、ジャンルはベースにはしつつも、自分流の爆発力が出せればいいかなと思って作っています。



ーこの曲は心の傷三部作の1曲ということですが、なぜ三部作を作ろうと思ったんでしょう。

もともと自分が曲を作るとき、セラピーみたいな部分がベースにあって。インディーズの頃とか特にそういう色が濃かったんですけど、今年の年始、また心の傷をセラピーしてみようと思って作ったんです。言ったら原点回帰というか、自分のルーツとなる表現方法に立ち返り、あらためてちょっとやってみました。

ー「先に言って欲しかった」は社会人時代の話をベースにされているんでしょうか?

そうですね。スマホのメモ帳にタイトルをばーっと羅列しているフォルダがあって。その中に「先に言って欲しかった」ってタイトルがあって、ものすごくかわいそうな光を放っていたので、曲にしようと思って作っていきました。

ー最初タイトルを見たとき、在日ファンクの「根に持ってます」が思い浮かにました。そういう状況になったときにメロディとフレーズが思い浮かんでくるんですけど、「先に言って欲しかった」も日常で頭の中で曲が流れてきそうだなって。

光栄です。

ーどうやって着想を膨らませていったんですか?

100パターン以上、先に言ってほしかったことを並べて、その中でいいものをピックアップした作詞方法になっています。歌詞って、僕の中ではフックがないとダメだと思っていて。いろいろ考えていく中で洗練させていきました。特に「先に言って欲しかった」に関しては、若干の大喜利感はありますね。

ーたしかに聴きながら、ミサイルを打つって先に言うわけないじゃんって思いました(笑)。

言うわけないんですけど、「歌」って、そういうことが言えるというか。歌の中の世界を豊かにするために作っている部分もあるんです。

Rolling Stone Japan 編集部

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