マハラージャンが語る、歌の中の世界を豊かにするための方法

ーマハラージャンさんの中にシュールなお笑い感覚みたいなものも感じるんですけど、そういうルーツはどういうところから来ているんでしょう。

学生の頃に大阪で過ごしたことが自分の中で大きい原体験になっていると思っていて。自分の中でおもしろいものを見つけたら溜め込むというか。おもしろいものに敏感になっているんです。

ー大阪で過ごしたことが影響を与えているんですね。

大阪に住んだときは、カルチャーショックでしたね。個々というより、集まったときのチームプレーがすごくおもしろいんです。役割分担がされていること自体にびっくりしたというか。ツッコミがめちゃめちゃ上手い人が毎回的確で、未だに芸人よりおもしろいと思うような人がいたり、プロにならなかっただけの人もいて。おもしろい人がいっぱいいましたね。

ーそうした原体験が歌詞とかに活きている感じはあります?

僕はお笑いをやりたいつもりはないというか。むしろお笑いですと思われないように、なるべく人が聴いたことないような歌詞にしたいんです。聴いたことあるような言葉を使ってしまうのは、音楽文化の進化ではなく現状維持になっちゃうというか。そうするとどうしても変わった歌詞になるので、そこはなるべく音楽の力でねじ伏せるようにしているといいますか。

ーそういう意味で言うと、「持たざる者」の〈ジェイソン村田〉って誰なんですか?

分からないです(笑)。ジェイソンなのか、村田なのか、どっちかも分からない。概念です。



ー例えば、水曜日のカンパネラみたいなナンセンス的な歌詞ともまたちょっと違いますよね。

僕は「油田」という事務所に所属していて、社長のcorin.さんも作家で、すごくおもしろい歌詞を書くんです。ただ、おもしろいでも流儀が全然違って。僕が水曜日のカンパネラのケンモチさんみたいなことをやろうとしても上手くいかないというか、逆に真似しようと思うと難しいんですよね。っていうのは、やっていて思いました。

ー〈ジェイソン村田〉が誰かわからなかったですけど、概念がわかってよかったです(笑)。

歌詞の世界って、分かっちゃうとダメな部分もあると思うんですよね。なんだか分からないでいいと思うんです。僕はレディオヘッドが大好きなんですけど、歌詞は1回もちゃんと見たことがなくて。それでもなんとなく分かっているし、それでいいと思っていて。

Rolling Stone Japan 編集部

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